撮影代行をネットショップ側が頼んで商品を預ける前に知っておきたい注意点や確認しておきたい項目。
最近ではネット通販業者が地元の撮影スタジオに商品を持ち込み、代行業者には撮影のみを担当させるケースは少なくなっており、下準備を含めた一連の作業を「撮影代行業者がすべて請け負う」というカタチが主流になってきています。
実際のところ大型の商品や生鮮食品など、すべての作業を依頼先に任せることが困難なケースを除き、アパレル商品などの場合は、日本全国受付対応している撮影代行サービス、
「商品を送って、撮って、返却してもらう」
という手軽な商品撮影の外注は、よく知られた流れではありますが、大切な商品を一定期間預け、撮影の代行依頼をするのですから、「依頼元も依頼先も」円滑にトラブルなく作業を完了したいと願うはずです。
そこで今回は、撮影代行をする業者に商品を送る前にチェックしておくポイントをご紹介したいと思います。
撮影代行する側と商品情報を共有する
自社で商品管理を行い撮影する代行業者あてに商品を発送する際に、「品番と商品数」の2つの項目は必ず事前に情報共有しておくべきです。
商品配送でよくある事例としては、発送者が異なる「依頼元の倉庫から発送されるパターン」です。
撮影代行を行う業者の担当者と依頼元(ネットショップ)の担当者で打ち合わせを行い、本人同士が発送・到着のチェックを行う場合は、梱包発送時の「入れ間違い、入れ忘れ」は少ない傾向にありますが、依頼元の担当者が直接倉庫に配送を手配し、倉庫担当者から撮影業者に発送される場合では、意外と到着時に商品チェックをしてみると、「商品が無い!」なんていうことがあります。
商品が20点程度であれば、発送ミスもたまにある程度ですが、これが100点を超えると意外と目立つ傾向があります。
こうした発送ミスは無いほうが良いですが、「撮影代行をする側との商品情報の共有」がきちんと成されていれば対処もスムーズに行なえます。
品番とカラー、総点数の詳細を互いが分かっていれば、未達商品を後追いで配送して頂ければ問題ないですが、配送のタイミングによっては、予定していた撮影日に間に合わない場合もあります。
配送ミスによる納期の延長や商品公開日の遅延は売上を左右することもありますので、注意が必要です。
また、撮影予定の商品がまだサンプルの段階で「品番が決まっていない」というケースもあります。
仮サンプルの段階で撮影代行をする側に商品を発送する場合は、スマホカメラなどで結構ですので、撮影に出す商品を簡単に撮っておき「アイテム番号」を付記しておくとより確実に商品情報を共有できます。
要は、まず第一段階として「配送品と商品数」の情報がキチンと共有されていれば良いので、品番表をデータ化する必要はありません。
極端にいえば、スマホ写真の画像と実際に配送された商品にメモ書きされたシールや付箋が貼ってあれば、依頼元が送った商品数と内容は把握できます。
よく勘違いされるのは、依頼元側で配送の段階までに撮影の順番を指定するようなファイルを作成しなければいけないと考えている担当者様もいるようですが、その必要はありません。
撮影代行を行う業者側が欲しい情報は、オーダー内容と相違ない商品が数量など間違いなく到着しているかです。
撮影の順番を決めるのは、撮影代行を行う側が決めるもので、依頼元が作成する必要はありません。
撮影スタジオ側が、絶対にデータ化された品番表が欲しいとか、撮影の順番を依頼元で決めて欲しいと要求されたという声も聞きますが、個人的にはその受付体制には疑問を感じます。
撮影時の進行表というのは、「商品サイズやカット内容」から撮影スタッフが検討作成するのが基本であり、単純に品番の若い順から撮ればOKというものではありません。
仮にモデルによるアパレル撮影の場合では、「着替えの順序や品番ごとのコーデパターン」を事前にシュミレーションし、拘束時間が少なくなるようモデルに配慮しながら撮影当日に備えるのが通例です。
撮影代行業者に依頼して着用ミスや撮影の精度にバラツキがある場合は、撮影前の準備を怠っているケースもあるので、「撮影進行に関しての資料」を要求される場合は、その代行業者への依頼を検討する機会かもしれません。
撮影業務に慣れている代行スタジオであれば、色々な依頼元のパターンを経験しているので、準備に負担がないような最善策を提案してくれるはずです。
配送前に商品の状態を撮影代行側に伝える
撮影代行をする業者あてに配送した商品が到着し確認したら、「ボタンが外れていた」、「撮影される主要箇所に汚れがあった」というのは、稀にあるケースです。
前章でお伝えしたように倉庫からの直接配送など担当者が直接撮影出しをする商品のチェックができない場合は、事前に「到着物に欠陥・欠品」があった時の対処方法を撮影代行をする側に伝え確認しておくことも大切です。
弊社の場合は、撮影対象となる商品が到着段階で明らかに壊れているなどのケースは、再送という形になりますが、アパレル商品で袖のボタンが取れかけていた、ほつれがあって糸くずが目立つ、シミが付いているなど、服飾商材でサンプル段階の商品によくあるケースについては、仮止めや、シミがついた部分は撮影後にシミ部分を消す加工処理を基本的には無料サービスとして行っています。
一見すると当たり前の対応のように感じますが、少し想像してみて下さい。
もしも、こうした商品に何らかのトラブルが見受けられた時に対応するのが撮影当日なのか別の日程なのかというタイミングです。
「弊社の場合」として敢えて説明したのは、弊社の場合は商品到着時に必ず開梱し、商品数などのチェックを行い、撮影とは別日にて撮影準備を行います。
これがスピード納品、即日対応がウリの撮影代行業者の場合は、「撮影日に商品のトラブルが発覚する」ということになります。
単に1センチ程度シミがあるくらいであれば、撮影を進行する上では、さほど問題は無いかと思いますが、壊れや縫製が必要な箇所が出た場合、当日商品をチェックする業者の場合は、撮影ができないと伝えてくるかもしれません。
撮影代行業者によっては、当日撮影分の予定が「お客様都合による停止した」とされ、キャンセル料を請求されたという事象も聞いておりますので、必ず事前に配送商品に撮影ができないような壊れや汚れがあった場合、キャンセル料の発生の有無を含め事前に確認しておくことが大切です。
撮影代行をする側に商品タグや梱包袋の取り扱いを指示する
撮影商品の指示で2つに分かれるのが、「商品タグは切らない」というパターンと、「商品タグは切る」という「商品タグを外す外さない」の指定の違いです。
基本的に現在のネットショップ向けの商品写真で「商品タグが付いたまま撮影」という商品写真は極わずかですが、トルソー撮影などで商品タグを切らずにそのままの状態にして撮影して欲しい、いわゆる「タグを隠して撮影を希望」という指示をする依頼元もいらっしゃいます。
商品タグの取り扱いについて何も指示しないまま撮影依頼した場合、この商品タグを外す、外さないは撮影代行をする業者ごとに対応が違うのをご存知でしょうか?
1点もののオリジナルタグの紐がバッサリ切られる前に、必ず商品タグの取り扱いについても指示しておきましょう。
タグ、値札を留める紐状のもの、「アンビタッチ」や「ループロック」と呼ばれるアイテムは、プラスティック材質であり基本的にはどこも同じ仕様です。
商品タグをそのままにして欲しいお客様のタグの多くは、「ブランドオリジナルのタグ紐」を使っているケースです。
弊社の場合、一般的に使用されている透明のタイプであれば、撮影時に切り、撮影返送時に新品の「アンビタッチ」や「ループロック」にて付け直し作業を無料で行っています。
オリジナルのタグ紐に関しては仕入れ販売している業者なのか販売元なのかによってオリジナルのタグ紐の予備の有る無しが分かれると思いますので、原則として事前に確認・原則切らずに撮影しています。
また商品配送時に個別包装された袋の処理についても確認しておきましょう。
薄手のOPP袋に関しては、テープで留められた箇所から商品を取り出す際に破れが生じることもあります。
ネット情報ですが、あるネットショップ担当者が、撮影代行に出し、返送された梱包袋(OPP袋)が破れていたり、皺になっていた!と憤慨されていたようですが、これには少し撮影代行をした業者に同情してしまいます。
アパレル商品の場合、依頼元より梱包され届いた商品をチェックし、取り出し、撮影後に服を畳んで再度、袋に戻す。
この作業を慎重に行ってもOPP袋は基本的には「使い切り」の性質上、破れやシワは発生する可能性はあります。
もし、袋の破れが気になる場合は、予備のOPP袋を返送梱包用に入れておくとトラブル回避ができると思います。
OPP袋について触れましたが、個人的には返送時に商品を畳まず返却する撮影業者もあるようなので、むしろそちらの方が、「預かり商品の取り扱い」に疑問を感じてしまいます。
撮影時の商品タグや梱包袋を踏まえ、撮影後の商品の取り扱いについても事前に確認しておくこともお勧めいたします。
商品貸し出し期限があるものは撮影代行業者に事前に伝える
撮影代行をする業者が、作業終了後に返送準備をする際に希望があるようなら伝えておきましょう。
例えば、アパレル商品なら「きちんと畳んで返却」、「返送箱の個数を最小限にして梱包」などメモ書きを残しておくことも有効です。
また撮影商品の預かり期限がある際には、撮影後の返送・到着のタイミングも事前に確認しておきましょう。
撮影スケジュールの調整が難しい事例としては、撮影代行をする業者にサンプルが到着後の貸し出し期間が2日程度など、撮影まで少ない期間の預かりしかできないケース。
事前に予約をすることで預かり期間が短くても対応は可能ですが、「急なオーダー+短い貸し出し期限」が予想される場合は、撮影スタジオが対応できるかどうかを確認しておくべきです。
通常、撮影スタジオは「オーダーを受付順」にてスケジュールを組んでいることが多く、順番待ちをされている依頼先が優先であり、納期が迫っているという理由で、急なオーダーを優先して撮影対応するには調整が困難な場合もあります。
弊社の場合は、大手ではないので例外ですが、急な撮影依頼をする際にもう1つ知っておきたいことは、「急ぎの撮影に対応させる」というのは、カメラマンを多く抱えている撮影業者の場合は、バイトのカメラマンが対応することも想定される事を覚悟しておきましょう。
撮影作業というのは「撮ればOK」というものではありません。
撮影は「美味しい料理」を作るのと同様に、下準備が9割、そうした撮影準備段階を急いで行う、また簡略化することは「商品写真の仕上がりに影響が出る」と覚えておきましょう。
撮影代行をする側に商品配送日と荷物番号を伝える
撮影代行業者に商品を発送する時は、必ず荷物番号(荷物の追跡)ができる配送方法を選択して下さい。
稼働状況の良い撮影スタジオは、毎日のように全国から商品が配送されてきます。
電話やメールで打ち合わせをしているから安心という感覚ではなく、撮影業者側に「配送物の到着日の指定はないか」は基本として、撮影スタジオの倉庫の埋まり具合もあると思いますので、大量の商品を配送する、“かさが増す商品”を配送する場合は、事前にスタジオ側に到着希望が無いかを確認をしておくことも大切です。
また少数だから、小型サイズだからという理由で、定形郵便(ポスト投函)のような郵送は絶対に避けるべきです。
撮影実績のある優良撮影スタジオであれば、撮影申込時に「商品の配送業者」、「荷物番号」を記載する箇所が必ず設けられているはずです。
「届いた、届かない」などのトラブルを防止するためにも、必ず代行業者の担当に確認しておきましょう。
まとめ
商品撮影サービスを利用するということは、撮影代行をする業者によって受付方法や作業内容に違いが生じるのは当然です。
大切な商品を配送し、撮影代行を依頼するのですから、事前のチェックは必要です。
本記事では細かな点をいくつか挙げておりますが、最後に「撮影代行に商品を預ける前に注意したい項目」をまとめておきますので、商品撮影をオーダーする前に確認しておきましょう。
撮影代行に商品を預ける前に注意したい項目
・商品の数、品番、商品カラーの情報は必ず共有しておく
・配送品の欠品・損傷があった際のキャンセル対応を確認する
・撮影の進行表は業者が決めるものとし、役割分担を明確にしておく
・商品タグ・梱包袋の取り扱い、返送時の商品の状態を指示しておく
・撮影商品の返却期限がある場合は、対応の可否を撮影代行業者と確認しておく
・撮影代行をする業者に商品を配送する時は必ず「荷物追跡」ができる方法にする
実際の撮影業務ではありませんが、撮影代行をする業者とのトラブルを回避するためには重要なポイントだと思いますので、参考にして頂ければ幸いです。
撮影代行をする側が商品の取り扱いなどに柔軟に対応・サポートしてくれるのかどうか?
商品撮影サービスは、細かなことに気を配れるスタジオは、「良い商品写真を撮る下ごしらえ」ができている証拠なのかもしれません。