スタジオブログ 商品撮影&写真について

商品撮影の撮影照明のセッティングで料金が変わるのはおかしい!?

商品撮影の撮影照明のセッティングで料金が変わる!?

先日、弊社の商品撮影をご利用頂いた、アパレル商品を扱うネットショップの担当の方から、こんな話を聞く機会がありました。

某担当者
御社(商品撮影.SHOP)は、撮影の照明セッティングの希望を出しても料金が変わらないから安心した
弊社担当
基本作業費に1つ分のセッティング費用は入っていますので、特別なケース以外、撮影照明(セッティング)を変更したから高いということは、殆どありません

そう伝えると、弊社に来る前に某撮影スタジオから、撮影照明(ライティング)によって、撮影料金が高くなると言われた経験を話してくれました。

背景はそのままで照明セッティングを変更希望

このネットショップの担当者様が希望した撮影内容というのは、生地に特徴のあるドレス風の商品撮影だったので、“素材感やシワ感”を重視した照明にして欲しいと某撮影スタジオに希望を出したところ、その撮影照明のセッティングは特殊だから、撮影単価が上がると言われたそうです。

でも、少し前の会話を思い出してください。

そもそも服のシワ感や素材感を出す照明設定が特殊とは思いませんがw、
本来、撮影スタジオというのは、「基本作業費」というのを頂戴するケースが殆どです。
そうした記載がない場合は、既に1商品あたりの撮影単価にコミットされていると思います。

弊社の場合は、10点未満のお客様に関しては、基本作業費として一律5,000円を頂いておりますが、10点以上の場合は、単純に撮影単価に基本作業費を含むものとして計算しています。

つまり、ストロボの灯数や設置パターンに関わらず、撮影回(1回分)の撮影照明のセッティング費用は、変動しないのが普通です。(弊社の場合)
例えば、20点の商品を1つの撮影照明で撮って欲しいとクライントの場合は、「素材のシワ感を重視したライティング」、でも「背景白抜きの撮影照明」でも、1つのセッティング作業になるので、基本作業費の範囲で行うの普通です。

逆に撮影スタジオが、なぜ洋服の基本的なライティングを「特殊」と形容し、基本作業(ライティング)の料金アップを伝えてきたのか?
単純に考えれば、ボウリングのレーンのように流れ作業で行っている撮影現場では、お客様ごとにバラバラのライティングを行うと、作業効率が悪かったり、そもそも1つのレーンで使用できるストロボの灯数が限られていたりなど、「撮影スタジオ側の都合」で、セッティング料金を高めに設定して、自由に撮影照明(ライティング)の希望を言わせないようにしているのかもしれません。

経験上、ネットショップ向けの商品撮影のみならず、基本作業としての「ライティングのみ」という作業区別で、追加費用・撮影単価の割増を請求するケースを、私はあまり聞いたことがありません。

もちろん、雑誌やカタログのロケ撮影などの「追加費用」が生じることはあります。
これは、ロケ撮影で撮影業者が保有する施設以外を利用したロケ先の借りた撮影スタジオで、照明機材をレンタルする場合などは、撮影照明機材の数や種類と使用時間によって、1灯あたりにレンタル費用が発生することがあります。

撮影照明のセッティング費用は基本作業では?

しかし、あくまでも自社管轄の場所や撮影機材を「借りた場合」であり、自社が保有する撮影スタジオが、自社運営のサイト上で商品撮影を受け付けておきながら、自社の撮影機材を使っているのにも関わらず、基本的な撮影照明のセッティングなのに料金がアップするという理屈には賛同ができません。

写真撮影とは都度撮影する対象(場所や環境などの条件)が異なるのは当然

要は、お客様ごとに撮影照明のセッティングが違うのも当然であり、そのスタジオが常設している「都合の良い照明セッティング」を、依頼元に提示するような撮影プランは、商品撮影サービス業者全体を考えると、極めて異例であり、ちゃんとした撮影スタジオは、各ジャンルで想定される基本的な撮影照明(セッティング)に対して料金の変動は行わないのが通例です。

但し、商品撮影の分野では、イメージ撮影などによって、背景や照明、使用備品を含めた商品へのアプローチ方法によって、「セッティング費用」が追加されることはあります。

例えばAのセッティングでは、壁紙の背景に家具などをレイアウトし、そこにハンガー掛けされた商品を撮影する“建て込みセット”を作る。
そして、Bのセッティングでは、背景白抜き用にホワイトペーパーに使用し、トルソーに着せ込み、商品撮影を行う。

このように、撮影時の背景などを含めた環境自体が変わるもの「セッティング費用」であり、厳密に言えば、こうしたセッティング費用の項目の中には「ライティング(撮影照明)変更」も含まれますが、プロダクト系のイメージ撮影などのように、ゴリゴリの追い込みが必要な場合が少ないネット向けの商品撮影では現実的とは言えません。

冒頭の担当者の方も、無論、大幅な背景ごと変更するような設定チェンジやレイアウト変更を申し出たわけではなく、単純に “素材感やシワ感” を重視して欲しいと依頼しただけでした。

一体、どこの商品撮影スタジオなのか?
と、知りたくなるかもしれませんが、企業名は公開しませんので悪しからず・・

個人的には、なぜそのような商品撮影の受付システムになったのかを同業者の目線で解説させて頂き、あるべき商品撮影サービスの姿を考えて頂ければと思います。

商品撮影、写真を撮るということはどういことなのか、
同業者から見て理解に苦しむ撮影プランを提示している業者さんも読んで頂けたら幸いです。

撮影照明(ライティング)と撮影前の成形作業の料金を理解する

撮影前の成形作業について

まず商品撮影サービスを利用しようと検討中の方に覚えておいて頂きたいのは、次の5つの項目について「基本作業」として捉えている業者なのかを確認することが重要です。

商品撮影サービス業者が、追加費用無しで行うべき5項目

その1:顧客ごと、撮影回ごとに新しいペーパーを使う

その2:撮影照明は、原則クライアントの希望に沿う

その3:洋服などのシワ伸ばし(アイロンがけ)を行う

その4:撮影商品は必ず撮影とは別日に検品チェックする

その5:規定上限カット以外に現場で予備カットが必要と感じたら撮る

ネット検索で、商品撮影の業者を探すと、撮影単価の安さをアピールしたものや、依頼者が満足したかは不明な撮影実績ばかりを強調した宣伝が目立ちますが、見逃してはいけないのは、写真撮影という作業は企業性(人間味)が出る行為なので、何でもかんでも簡単な撮影プランでまとめているサイトは、冒頭で触れた撮影照明の希望などクライアントごとにカスタマイズする撮影作業は割愛、または追加費用になっていることがあるので、詳細をよく読んでおくことをオススメします。

事実として、撮影照明(ライティング)というのは、写真撮影において、重要な要素であることは否定はしません。
しかし、ネットショップ向けの商品撮影のお客様が希望する「撮影照明のセッティング作業」で追加費用を頂いたことは、経験上、ほぼ皆無です。

もしも、セッティング作業で追加費用を求めるなら、平置き撮影時に洋服をどう成形するのか、イメージ撮影時でメイン商品や小物類をどうやってレイアウトするのかなどの「成形(コーディネート)処理」に対して、必要な撮影照明のセッティングをトータルで考えることはあります。

しかし、弊社の場合は、単純に照明位置が変わった程度で、「料金追加!」という、事例は無く、ネットショップで行われいる通常の平置き成形処理であれば、撮影照明のセッティング作業自体に追加費用を発生させるという考えはありませんので、ご安心下さい。

付け加えると、基本的な撮影照明のセッティングパターンに価格差を出すということは、撮影スタジオ側が、高い照明セッティングの方が難しいと判断している証拠でもあり、基本的な作業項目に難しいと感じてしまっている段階で、撮影レベルが分かってしまうとも言えます。

「吊り撮影」と「ZOZO風吊り撮影」の料金の違い

「吊り撮影」と「ZOZO風吊り撮影」の料金の違い

ここからは、具体的に某商品撮影サービスの撮影照明によって料金が変わるケースを見ていきます。

唐突ですが、質問です!

「ZOZOTOWN」で使用されている印象的な写真と、「アマゾン」のような背景白抜きの写真
どちらが作業代金が高い撮影方法なのでしょうか?

なぜこのような質問をしたかと申しますと、アパレルの商品撮影の場合、何かと話題の「ZOZOTOWN」のような “イケてる撮影照明” だと撮影料金が普通の撮影より金額が高くなっても仕方がないと感じるネットショップ担当者の方が意外と多いからです。

例えば「吊り撮影」という商品撮影プランの中で、陰影やコントラストを強調したものを「ZOZO風吊り撮影」とします。
逆に陰影やコントラストを抑えた状態を「通常の吊り撮影」と考えてみましょう。

撮影業者の立場から言わせて頂くと、両方の撮影照明のセッティングに大差など無く、「希望があればどちらでもOK」という内容の作業です。
しかし、この何も特別なことでもない基本的な撮影照明のセッティング作業で、「ZOZO風吊り撮影」の方が、「通常の吊り撮影」に比べて撮影単価が倍以上と料金提示がされていたら、どう感じますか?

おそらく殆どのお客様は、「やっぱり、ZOZO風吊り撮影の方が難しいんだ!」となります。

でも、このブログを見ているカメラマン全員が思うでしょう・・・

そんな事があるはずがないぃwww

むしろ、「ZOZO風吊り撮影」のセッティングなんて、ストロボの拡散条件さえ整えれば、「通常の吊り撮影」より安価にしてもいいくらいの作業です。

写真に詳しくない人に向けて「良い写真!」と感じさせる簡単な方法は、陰影のあるコントラスト強めの写真を出すことです。
良いと感じる理由として、メリハリの演出力に長けた撮影照明で撮られた写真は、物体の質感が強調され感覚的に分かりやすいこともあり、商品撮影の手法としてZOZOTOWNの物撮りで多用されており、商品写真として訴えるという点では正解ですが、撮影の技術的に難しいか否かと聞かれれば、特別なものではありません。

商品撮影は照明の効果で印象は変わる

感覚的に訴える商品写真というのは、ネット販売をする側からすれば「欲しい写真素材」です。
そうしたネットショップの運営側の希望を逆手に取って、難しくもない撮影照明で撮影単価を引き上げるのは、ちょっと・・プロとしてどうでしょう??・・・
私なら、「ZOZO風吊り撮影」を希望されるお客様がいても、通常の吊り撮影のプラン料金で普通にご案内しますけど・・

いやいや、きっと「ZOZO風吊り撮影」を高額で受け付ける理由となるような、ゾゾスーツならぬ、ゾゾストロボみたいな、特別豪華な照明機材でもあるのかもしれません・・・、そんなものはありませんww

しわ感&陰影ありの撮影と平置き通常撮影の料金の違い

しわ感&陰影ありの撮影と平置き通常撮影の料金の違い

ではもう1つ、不可解な商品撮影のプランを見ていきましょう。
これまたアパレル商品になりますが、洋服を平置き撮影する場合に、雑誌のコーデ写真などではお馴染みとなっている「しわ感を演出した平置き成形撮影」「通常の平置き撮影」、この撮影で料金単価の違いが生じるのは正当なのか?

洋服などの成形作業に関わる項目で、実際に撮影する(カメラのシャッターを切る)までに時間的な差が出るので、さすがに成形までに、ある程度の時間を要する「しわ感を演出した商品写真」の方が、通常の平置き撮影のより単価が高くて当然だと感じる人も多いはずです。

これも撮影業者の立場から、厳密に申し上げれば、単価に差が出るのは、「シワ感の演出具合による」というのが正解です。
もう少し噛み砕いて申し上げれば、1つの品番のカラーバリーションが3色展開の商品があったとして、「全色のシワの形成が統一感のある質感(形状)」であり、綺麗に施されているのであれば、撮影単価が少々高くなることもアリだと思います。

「しわ感を演出した平置き成形撮影」でよく見かけるパターンが、「単純にクシャクシャにしただけの商品写真」です。
通常の平置き撮影と異なり撮影単価を引き上げるのであれば、シワ感を綺麗に演出する成形スキルは絶対であり、依頼者もそれを求めるはずです。

平置き状態で洋服を撮影する場合、照明の当て具合によっては、撮影照明のセッティングだけで「シワ感を演出」することが可能です。
そこに敢えて「クシャクシャ感」を出すのですから、クシャとした形状にも一定の法則が必要で、そこに拘りが無ければ “雑に置いただけの商品写真” になってしまいます。

商品写真の見た目とは、撮影の照明セッティングや成形の仕方によって変化します。
しかし、そうした見た目上の変化が、単なる撮影プランの名ばかりの違いではなく、撮影単価が上昇するに値する作業量であることが前提です。

本当に難しい撮影方法なのかどうか?
少しでも撮影内容や単価に疑問を感じた時は、弊社のみならず、「写真を生業としている」信頼できそうな商品撮影サービスの業者に相談してみるのも良いかもしれません。

商品撮影は利益追求だけではダメ!

商品撮影は利益追求だけではなく正しい知識を提供する

商品撮影というサービスは、専門性のある知識から撮影作業という労働の対価を頂戴するものです。
もしも、専門知識のある業者側が、労力に見合わない軽作業に高額な単価設定をするようなケースが増えれば、写真撮影という分野で頑張っている業者やカメラマンにも、あらぬ値引き交渉を持ちかけられることも想定されます。

撮影を請け負うスタジオは、利益追求という側面と共に「正しい知識を正しく使う義務」もあるので、クライアントには分からないであろう利益率(甘い蜜)を見越した行動は、慎むべきだと考えています。

撮影照明によって、商品写真の見栄えが違うことは、依頼元にメリットとして感じてもらえるポイントです。
但し、メリットに対して妥協できる価格であるかの判断は、別の事柄だと考えるべきであり撮影単価の上昇は、ネットショップにとって死活問題だということを前提に料金(単価)を決めなければなりません。

例えば、もしも撮影照明のセッティングで、A設定よりもB設定の方が所要時間が必要になるのであれば、A設定の所要時間に近づくようにB設定の作業手順の見直しや、常設照明のレイアウトの自由度を模索するなりして、A・B同一価格で提供できるように尽力することが、企業努力であるように感じます。

今の時代、商品写真は、頑張ればネットショップ自体で撮影することも可能です。
そうした中で、弊社の商品撮影サービスをご利用頂く方には、「絶対に納得した撮影作業で応えたい」と考えています。

適正価格・適正作業で仕事を依頼できる環境が普通であることを、利用者の誰もが願っている事だと信じています。

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