ECサイトの担当者が撮影代行を業者に依頼する。
こうした撮影オーダーの流れの中で、普通に考えれば、商品撮影を担当するのは、撮影代行を依頼した先、つまりスタジオの専属のカメラマンが写真を撮っていると信じている人も多いのではないでしょうか?
もちろん例に漏れず、私もそう信じておりました。
しかし、最近ではネット上で手軽にカメラマンとの契約をする求人システムが盛んになっており、ECサイトの撮影代行をしている業者によっては、自社で撮影は行わず、外注カメラマンに委託することもあるようです。
弊社の場合、商品撮影を担当するのは私、または弊社の専属カメラマンとなりますので安心して頂きたいのですが、同業者からの噂では、撮影を受付けるシステムや対応の変化についての話は耳には届いてました。
要は、自社のカメラマンに撮影を担当させ経験を積ませながら育てていく方針と、自社で雇用するカメラマンは最小限にして、案件のほとんどは、在宅カメラマンやアルバイトに撮影を任せていく方針の2通りがあるということです。
代表的な例は、クラウドソーシングと呼ばれる、発注者が案件内容と金額を提示して、仕事が欲しい個人カメラマンを決定するというものです。
働き方改革と表現してしまえば、それまでの話なのですが、昔と違ってカメラの手軽さに伴って、職業カメラマンも手軽に出来る時代になったものだと感慨深い・・・
いや!待った!!
これは依頼元にとっては、不快に感じる人もいるのではないでしょうか!?
例えば、「商品撮影を責任を持って丁寧に撮影代行します!」と、謳っておいて、いざECサイトの商品撮影を申し込んだら、自社で撮影を担当せずにバイトなど、外注に仕事を再度回すという業務体制は、何か問題が生じないだろうか?
気になったら調査したくなるタイプなので、詳細の具体例はご紹介できませんが、とあるクラウドソーシングを行うサイトにカメラマン登録をして、どのような案件が流れているのかを1ヶ月ほどチェックしてみました。
するとそこには、私も想像していなかった世界が広がっておりました!
もしも、私がECサイトを運営する側で、撮影代行を業者に頼んだ後に、このような経緯で処理されていると知ったら、激怒してしまいそうですが、冷静に考えれば、商品写真に対する考え方が変わったとも言えます。
この記事を読んで頂いている方には、誰が撮ろうが写真が良ければOKという意見もあるとは思いますが、ECサイトの撮影代行を依頼した後に、実際に誰が責任を持って写真を撮るのかという部分は重要だと思いませんか?
ECサイトを対象にした撮影代行サービスの質を知る
ECサイトの担当者が、撮影代行サービスをネット上で見ただけでは、依頼する撮影担当が専属カメラマンなのか?、または在宅などのバイトが担当するのかは誰にも判断はできません。
しかし、撮影代行サービスという特徴を考えれば、「外注に回される可能性の有無」を知ることはできます。
どういうことかと申しますと、商品撮影という業態は、カメラマンと一定数のスタッフがチームになって行うことが多い作業です。
要は、理想的な撮影人数で、ECサイトからの撮影代行を行うには、受付可能な取引先の数に限りが生じます。
優良な商品撮影サービスを展開していれば、毎月のリピート客がスタジオには必ず存在しています。
例えば、弊社の場合では、月ごとに一定数を超える定期撮影が入った段階で、新規の受付を制限させていただくことがあります。
これは当然ながら、弊社撮影スタッフで対応できるキャパ以上の仕事は受付けられないからです。
20点程度の小口撮影であれば、カメラマン1名でも対応は可能ですが、撮影の大小に関わらず複数人のチームで行うことにより撮影ミスを抑える効果もあり、そもそも撮影現場では、色々な意見があった方が、商品写真としての仕上がりも良くなります。
本音を言えば、キャパ以上であっても、根性論で撮影をたくさん受付けていけば、売上は向上しますので、対応数は増やしたいのですが、商品撮影という分野は、対応可能数を超えたオーダーを組めば、現場スタッフの対応に必ず無理が生じますので、一定時期に集中してしまうオーダーは先着順にて対応し、弊社の受付可能数を超え、満足のいくサービス提供が難しいと判断した場合は、潔くお断りしています。
そして、ここが写真屋としての考え方の分かれ道だと考えています。
弊社のような考え方とは逆に、「絶対にオーダーは逃さない!」と考える撮影代行業者は、撮影スタッフの人数が足りなければ、外部からの登用を模索し、カメラマンを外注でも在宅でも成熟度は度外視しで手配し、撮影対応をしている例もあります。
どちらが正解という事ではなく、「撮影業者ごとの考え方の違い」であり、結果として商品写真が納得のいく仕上がりであれば問題は無いのかもしれません。
ただ、個人的な意見を申し上げれば、撮影を依頼したECサイト側に事前に報告はしておくのが礼儀だとは感じます。
依頼主、つまりECサイト側は、依頼先のスタジオの専属カメラマンが担当していると信じている可能性が高く、そこを信頼していることも考えられ、撮影完了後に何かしらのミスが生じた時に、実はバイトが担当していたと知ったら、気分は良くはないはずです。
商品撮影というのは、経験が大事だという意味は撮影回数だけのことではありません。
撮影を重ねることで必要な機材や小道具が揃い、充実したサービス提供が可能になります。
単発で仕事を請け負う傾向の強い、在宅やアルバイトカメラマンの場合、「1度しか使わないかもしれない機材」を単発の依頼のためだけに揃える覚悟や、それに見合った報酬があるとは思えません。
外注カメラマンの環境にも依りますが、スタジオを持たない、またはスタジオ勤務経験の無い人材は、単純な撮影回数だけでは判断できない“なにか”が不足している可能性があることを、外注カメラマンを雇う側がしっかり理解しておくべきだと考えます。
在宅カメラマン・バイトカメラマンの注意点
クラウドソーシングに登録してみて、私が気づいた在宅・バイトカメラマンの実情をお話したいと思います。
登録後、3日程で母体となるクラウドソーシングの仲介業者からきたメールに書かれた仕事内容は、「商品撮影1点300円」というものと、「ECサイトへの商品登録、1点15円」という非常に安価な報酬の仕事情報でした。
その後も続々とプチプラな案件情報が届き、調査期間として設けた1ヶ月が過ぎたのですが、無論、どれも労力に見合った仕事ではなく撮影への活力が見い出だせる報酬ではなかったので、すべてスルー致しましたww
正直な感想としては、依頼する側も撮影に要する労力に対しての正当な価格(依頼金額)を知らない、そしてカメラマン側も、他の人より安いことをPRしたいという負の連鎖が生じており仕事自体の品質が低下しているというのが個人的な感想でした。
当然ですが、1次受付には撮影代行業者がおり、そこから在宅・アルバイトへと回すので、撮影単価はドンドン下がっていくワケです。
撮影者が仕事として受ける時のモチベーションとして「報酬」は大事です。
安過ぎる単価で撮影を受付けるということは、最初は我慢できても件数が増えれば、必ず作業への意欲の欠落と粗が生じます。
私が、クラウドソーシングに登録してみて感じたことは、「商品を500個登録して、7,500円」・・・
果たしてこの報酬の安さで、SEO対策が施された商品登録が可能か否かは誰でも分かるはずです。
在宅カメラマン・バイトカメラマンのすべてが悪いわけではなく、低価格でも頑張っている人もいるでしょう。
しかし、ECサイトに向けた激安の撮影代行サービスが、長続きしないという側面も理解しておくべきだと思います。
クラウドソーシングを利用したカメラマンは、明日もその紹介サービスを利用しているとは限らないのです。
スタジオを稼働させて、専属のカメラマンが担当するということは、責任を負う窓口とその後のサポートを明白にする信頼の証でもあります。
ECサイトが撮影代行を頼む前に確認する3つのチェック項目
前章では、ECサイトにおける撮影代行のサービスの質と業者ごと仕事の受け方について触れましたが、この章では、実際に撮影代行業者に依頼するときに、最低限チェックしておく項目は何かを考えてみたいと思います。
まず最初にチェックするべきは、撮影代行先に公開されている「サンプル写真」は誰が撮ったものなのか?を確認しておきましょう
電話でもメールでも良いのですが、気に入ったサンプル画像を撮ったカメラマンの在籍の有無と、ECサイト担当者が依頼予定の撮影を担当してもらえるのかを確認しましょう。
同じ撮影代行サービスであっても担当カメラマンによって、商品写真の品質が違う場合があることも知っておきましょう。
次に「1商品あたりの規定カット数」についても事前に確認しておきましょう。
撮影代行サービスのサイト上で公開されているカット数の上限は、業者によって異なりますが、商品撮影というのは、「現場で気付くこと」というのがあります。
例えば、上限4カットの撮影プランで、依頼先からは、商品の前面、側面、背面、ロゴのポイントの合計4カットを指示され、実際に撮影をしてみると、もう1カット「生地素材を強調した写真」を追加した方がより訴追力が上がるとカメラマンが判断した場合、無料で1カットを予備として撮ってくれるのか?を聞いてみましょうw
依頼側からすれば、撮影代行先に対して「無料での対応要求(心遣いの有無の確認)」になるので、躊躇するかもしれませんが、大きく成形をし直さない状況であれば、1カット分を余分に撮ることぐらいは、十分無料で対応が可能なはずです。
仮に、上限カットを超える作業の無料対応は絶対にダメ!という「ちょっとの優しさ」に欠けている撮影代行サービスは、もしかしたら自社で撮影を行わず。。。外注の外注に撮影を回しているかもしれませんww
そして、最後に確認しておくのは、「オプション費用の項目」です。
撮影代行サービスによって、もっとも差が出る項目でもあり、サイト公開時は安い撮影単価であっても、実際に見積もりが届いてみると意外と高かったという場合は、オプション費用の追加による影響が考えられます。
即日撮影OK!
しかし、急ぎの対応はオプションなので、別途費用がかかるなど、触れ込み価格と、実際の価格を冷静に見極めることが大切です。
ECサイトに好かれる撮影代行サービスを目指して
2016年ごろからネット通販を行うECサイトをサポートする撮影代行サービスや商品ページの作成サービス。
これらの作業を総じて、ささげ業務とも言われていますが、果たしてこの先もずっと、サイト制作部分を何でも代行させるというECサイトの運営方針は、検索エンジンに歓迎されるのでしょうか?
長らくネット情勢を見ている私の個人的な意見としては、業者任せの同じような文章構成、商品デザインのECサイトは、必ず近い将来痛い目に会うのでは!?と感じています。
このブログでも何でも書いていますが、当サイト、「商品撮影.SHOP」がなぜ検索結果で優遇されているのか?
答えは簡単で、「業者に任せない方針で、自分の言葉でオリジナル文章を量産しているから」です。
これを撮影代行サービスという分野で例えるなら、どれだけ撮影数が多くても、「誰が担当した撮影数が多いのか?」は判断できません。
要は、実際にスタジオに携わっている人間が撮る写真と外部の人間が撮る写真では何か1つピースが足りない気がするのです。
当然こうした撮影に関する記事も、私が商品撮影サービスという分野についての記事制作を、外部の撮影未経験のライターに頼んだとしたら、撮影業務に携わっていない人が書いた薄い文章になるでしょう。
ささげ業務の中での、商品ページの文章構成や登録作業というのは、あくまでも外部の人間の代行作業であって、本質を突いた商品紹介ではありません。
プロの代行業者による、同じような「薄い文章構成のサイト」が増えれば、自然と検索エンジンは、稚拙な文章であっても商品について詳しく掘り下げている「オリジナル性」を優先します。
ECサイトに好かれる撮影代行サービスとは、何でも手を出し手広く代行業務を行うことではなく、商品撮影という1つの分野に特化したサービスを目指すことが大事であり、分野に特化したサイト運営が検索表示に有利に働くことに似ています。
商品撮影は誰が撮るのか?
商品ページの作成は誰が担当するか?
この2つのポイントを真剣に考えているECサイトは、きっと数年先も安定した成長をしているはずです。