アパレル向け商品撮影の方法として「吊るし撮影」は人気ですが、スカートなどのボトムスに属するアイテムでは、物撮り後に商品部分を切り抜き加工をする際に、吊るした箇所(ハンガーやピン)が目立ってしまうのでは?という心配をされる方もいらっしゃいます。
例えば、スカートをハンガーで吊るし撮影をする際には、どうしても商品を挟んでいるクリップ部分が目立ってしまいます。
トップス用のハンガーに比べて、スカートなどのボトムス用のハンガーにはクリップで留めるタイプが多いのですが、撮影後に商品の切り抜きを行う時には、生地を挟んでいるクリップ部分は邪魔になります。
吊るし撮影を前提にしているのだから仕方がないと諦めてしまう前に、スカートなどのボトムスを撮影予定の方は、「そのままでもOK、切り抜き後も綺麗に使える商品写真」のご提案をさせて頂きます。
弊社のプランの中でも撮影単価としても優秀なハンガー吊るし撮影の立体感のある写真は、単にハンガーに掛けて撮るだけではありません。
吊るし撮影には成形処理だけではなく、商品の特徴と利用目的を想定した下準備が必要になります。
今回は、スカートのハンガー吊るし撮影をサンプルに、撮って出し写真と切り抜き加工の活用パターンを御覧ください。
実践:吊るし撮影後の切り抜きサンプル
まずはじめに、撮って出しの商品写真を御覧ください。
タイトスカートを撮影するためにハンガーで吊るすのですが、スカートを留めているクリップ部分に注目して頂くと、商品をそのまま挟まず、前面にクリップが見えないように、後ろ側の生地のみをクリップで挟んでいます。
こうすることで、仮にウェスト部分にポイントとなるステッチや柄があったとしてもクリップで邪魔をされることはありません。
ただ、それだけ!?
と感じるかもしれませんが、クリップ留めする箇所を単純に後ろ側で留めただけでは、この写真のような成形はできません(どうやって前面部分が垂れてこないようにするのかは、ヒミツですw)
では次に、実際に商品部分だけを切り抜いた状態を見てみましょう。
ハンガー部分も取り除き、純粋にスカート部分だけを切り抜いたものです。
また画像の仕上げとして、切り抜き加工後に僅かに見えるクリップ部分をコピースタンプツールで補正します。
もうお分かりかと思いますが、商品撮影の段階で、スカートを吊るしていたハンガーのクリップまわりを処理・下準備をすることで、撮影後の切り抜き加工のスピードも早く仕上がりも綺麗になります。
パソコンでクリップを消す処理をするのであれば、アナログ的な下準備など関係ないという意見もあるかとは思いますが、サンプルの商品は、柄もなく比較的シンプルな商品なので、切り抜き加工時にクリップ箇所を消す作業も簡単かもしれませんが、これが幾何学模様など、複雑なデザインパターンの場合は、レタッチ処理時間がそれなりにかかります。
商品撮影サービスを行う業者は、何でもデジタル処理に頼らず、「撮影段階でできる最善策」を惜しまず考え、作業を進めることが大事です。
応用:切り抜き加工した商品写真のバリエーション
まずは、実際に切り抜き加工をした商品写真を定番の真っ白の背景に合成してみます。
そして、バリエーションとして壁紙背景への合成サンプルも御覧ください。
同じ切り抜き後の商品写真ですが、左右で微妙に違うことが分かりますでしょうか?
左のスカート画像は、切り抜き加工したものを白背景に重ねただけの商品画像、右側のスカート部分は、撮影時の照明から、合成後の背景に色合いを最終調整し、少し陰をつけたものです(陰は自由w)
そして次にやや奇抜ですがw、壁紙背景に合成したバリエーションです。
今回のサンプル写真のようにの切り抜き加工を前提に撮影セッティングを行っていない商品写真を、背景合成後に最終的な画像として仕上げる際は、背景と馴染ませるために商品部分の明度などの微調整は欠かせません。
切り抜き加工した商品写真は、背景とのバランスにも注意する必要があります。
商品撮影と切り抜き加工の関係
商品撮影をした後に切り抜き加工をするネットショップも多いと思います。
切り抜き加工は、主に商品画像のデザインする上で商品部分を切り抜くケース、またはアマゾンなどのメイン画像の背景の規定に伴って、白背景に統一する目的だったり理由は様々です。
白い背景として商品画像を形成する場合、商品撮影の段階で背景を白く飛ばす方法と、撮影した後で商品部分を切り抜き加工をする方法、どちらの方が適しているのかというご質問を頂くことがあります。
結論としては、いずれの撮影・処理手順でも後から切り抜き加工は問題なくできます。
ネットショップ用に敢えて言うならば、撮影サイズやセッティングにもよりますが、商品写真をそのまま白背景で使うのであれば、商品撮影の段階で背景を白く飛ばす方法をオススメします。
この理屈からすれば、「すべて同じセッティングで良いのでは?」と感じるかもしれませんが、本来は切り抜き加工を前提とした商品撮影では、「商品の輪郭や本来の質感を明確に表現すること」が必須となりますので、単純に背景が白ければ良いというものではありません。
商品の質感は光と陰の演出によって変化します。
切り抜き加工に特化した万能の照明セッティングがあるわけではなく、それぞれの商品をより訴追力のあるものにするには、商材ごとのアレンジが必要となります。
商品撮影した後の画像の使用用途によって背景を白く飛ばす方法が向いているのか、切り抜き加工を前提した手法が良いのか、撮影オーダーをする前にご相談頂ければネットショップ毎に適した方法をアドバイスさせて頂きます。