ワインボトルの商品撮影は、代行業者によって商品写真としての仕上がりに差が出やすいジャンルでもあります。
赤ワイン・白ワインなどの種類によってボトルの色やワイン本来の色が異なる撮影は、すべてを同じセッティングで撮れば中立的な商品写真にはなりますが、ワインボトルのそれぞれの特徴を捉えることはできなくなります。
またワインボトルの形状として、「いかり肩タイプ」は、ボルドー地方、「なで肩タイプ」は、ブルゴーニュ地方と産地よってワインボトルの形状も変化していき、同じ容量のワインでもボトルの高さや太さも異なります。
商品撮影において、商品を観察することは重要な作業工程であり、こうしたちょっとした雑学も知っておくと、産地ごとにライティングを調整したり、ワインボトルの高さによってグループ分けすることで、単純に撮る写真から、「考えて撮る商品撮影サービス」へと変わっていきます。
今回のサンプルは1つのワインに焦点を当てながら、ワインボトルの商品撮影についてご紹介していきます。
ワインボトルを白い背景を入れて撮る
まずは、格安の商品撮影サービスでよく見られる「撮っただけのワインボトル」の写真を見てみましょうw
いずれも白い背景を含めた余白ごとデータとして使用する角版カットとなります。
左側のワインボトルは、写り込みを軽減する対策はされていますが、ラベル部分の質感やボトル自体の発色に難が生じています。
対して右側ワインボトルの商品写真は、ボトルの向かって右肩の部分から写り込みが発生しており、ワインボトル本来の色合いや質感を邪魔しています。
例えば、こうした「少々難のある」ワインボトルの商品写真でも、小売店などが“とりあえずオリジナル画像”として用意するだけであれば、商品画像としての閲覧に耐えられるかもしれません。
しかし、地元で作ったオリジナルワインがボトリングされた「プロダクト写真」、つまりブランドが使用する写真として使用したい場合は、角版カットよりも、まずは「切り抜きカット」を想定した撮影の方が、商品のイメージや説明用の画像として重宝します。
※角版・切り抜きカットの違いについては、別の機会に詳しくご説明します。
ワインボトルを商品撮影して切り抜く
簡易的な切り抜きカットとして、ワインボトルの商品撮影を行った際のサンプルがこちらです。
先程のワインボトルの写真と比較してみると、左側の照明の当たり具合と、ボトル自体に写り込みが生じていない点など、言わば“よく見るワインボトルの写真”だと思います。
ワインボトル撮影の注目ポイント
ワインボトルの撮影表現は、撮影スタジオやカメラマン、はたまたワインを販売する依頼元の意向によってもクセが出やすいものです。
18年以上前になりますが、当時、駆け出しだった私がワインバーに出張撮影を頼まれた時に、そこにいたソムリエに、赤ワインだけでもフルボディ、ライトボディがあって、バーの陳列方法も産地やテイストによって分けている・・などなど、ワインに関する熱いお勉強をさせて頂き、その後のワインボトルの商品撮影に役立った経験があります。
ということで、今回サンプルで用意した赤ワインは、「リーズナブルでフルボディな味わい」ということなので、上記の定番のワインボトルの撮影表現から、私のイメージした“このワインボトルだけに注目した撮影サンプル”を御覧ください。
照明部分(白い反射部)にエッジを効かせて、ボトル右側の陰になる部分を多くし、重さを表現しています。
ワインボトルの撮影では、一定の技術的な基準を超えた場合、何が正解かどうかではなく、「撮影業者がどのような気持ちで撮影に取り組んでいるのか」を知って頂ければ幸いです。
流れ作業の格安業者でもワインボトルは撮れますが、買う人の気持ちなってシャッターを切ると、同じワインボトルでも見せ方は変わってきます。
アレンジを効かせてワンボトルを撮影する
ワインボトルの商品撮影の最後に、背景などアレンジを効かせたバリエーションサンプルを御覧ください。
この記事で使用したワインボトルはすべて同じですが、光の扱い方やセッティングの違いでのイメージの変化をお楽しみ下さい。
背景や演出方法など、ワインボトルの商品撮影のご相談もお気軽に♪
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