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商品撮影の物撮り料金の決め方をこっそり教えます

物撮り料金の相場の話

物撮り料金の相場 商品撮影を代行業者に依頼する際に「物撮り料金の相場より高いか安いか?」という部分は、スタジオ選びのポイントになるかもしれません。
弊社が13年ほど前にモデルによる商品撮影サービスをネット展開した時にこんな現象が起きたことを思い出します。

当時の弊社の運営スタッフは少人数であり、撮影から納品までの料金の算出というのは当然人件費を多く要する大手よりもアドバンテージがありました。
既存の撮影スタジオより撮影料金が少し安い、これを1つの強みとして、そこに付随する新サービスを3つほど「オリジナル名称」で展開していきました。
SEO上の対策が功を奏したのか、当時弊社のサイトは「商品撮影の分野ではネットで目立つ存在」でした。

その後1年ほどが経過し、ネット上で何が起こったかと申しますと、他社サイトでも「同じ名前の撮影プランの登場」そして、価格の改定により当時の弊社運営サイトで公開していた撮影料金を下回る撮影業者が乱立しました。

つまり、何も気にせず自社で必要な経費と儲けを計算して公開した撮影料金が、ネット向け撮影サービスの「相場」のようになった瞬間でした。
単純に「新しいサービスプラン」のコピーは理解できましたが、料金の相場まで変動した時には驚きました。

そして10年ほどが経過しましたが、撮影料金の相場の変動により弊社は「そんなに安くない撮影サービスw」になりましたが、価格の値下げは行いませんでした。
それは当然です。弊社が決めた撮影料金の算出は「自社がサービスとして必要となる撮影料金の提示」ですので、キャンペーンを行わない限りは、「相場に合わせる必要」がなかったのです。

一方、当時弊社の撮影料金や新サービスを模倣したサイトがどうなったか?
やはり相場を下回る強引な値引きや自社で思案したものではないサービス展開は自滅し、サイト閉鎖をしている会社も多くなりました。
社員数が弊社よりも多ければ、「無理な価格改定」であり、ネット上の撮影料金の相場に右往左往することに意味がないことを学んだ出来事でした。

こうした事例もあり、物撮り料金の相場というのは、何かのきっかけで簡単に変わってしまうものです。
当ブログでも書いておりますが、「良いスタジオとは相場に左右されていない」ということが言えるかもしれません。
頻繁にキャンペーンや値引きを行っている撮影スタジオを見ると、個人的には「何かあるんだろうな・・」と邪な気持ちで見てしまったりもします。
撮影料金値引きの裏側

もしも本当に撮影料金に自信があり、定期的に顧客を獲得できているのであれば「過剰なキャンペーンや値引き」は行わないはずです。
考えられる理由としては、「そこまで値引きしないと運営できない」または「定期顧客離れが起こっている」などが想定されます。

顧客をもてなすことで有名なスターバックスのコーヒー1杯の値段、一時期大手ファストフードやコンビニコーヒーにマーケットを取られるのでは?と噂されましたが、スタバが格安コーヒーと同じ料金にすることはありませんww

料金の相場というのは、「撮影スタジオが自社の必要経費と利益から算出するもの」であり、市場の変動で物撮り料金を変えているところは、「写真に自信が無い証拠」とも言えます。

物撮り料金の相場を見る前に、依頼予定先である撮影スタジオが安売りをし過ぎていないかをチェックすることの方が大切なのかもしれません。

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物撮り料金は数字より撮影の作業工程を見る

料金比較の重要ポイント
物撮り料金の相場というのは流動的であることがご理解頂けたと思いますが、この章では「物撮り料金の見方」について書いていきたいと思います。

物撮り料金を決める項目としては、撮影の現場作業と準備や現像作業など「撮影業者が行うべき作業工程」が存在します。
実際に撮影作業以外の項目を見ていきましょう。

撮影業者が撮影前後にやるべきだと思う作業

1:依頼主との打ち合わせ
2:商品の到着・検品作業
3:撮影進行表の作成
4:商品のスチーム掛け、撮影グループの分別
5:撮影セッティングの検討チェック
6:撮影後の商品の袋詰(畳み直しや汚れが生じていないかチェック)
7:撮影データの現像・加工処理
8:お客様データチェック用ページの準備
9:メディア納品用データの準備と返送前の脱臭作業
10:お預かり商品の返送手配

撮影以外の作業項目としては弊社の場合は主に10項目は必須となります。
こうした作業に必要な部分についての労働力と時間と利益を計算して物撮り料金を算出しておりますが、これを強引に価格を弊社より安く仕上げた場合は、撮影業者が考えることは、「必須項目を削除または効率化」です。

作業項目で削除されることが多いのが、2~6番目の項目だと予想されます。
「届いたその日に撮影着手!」とか「スピード納品」と呼ばれる業者のデータを拝見して気づくことは、「服などにほつれや畳ジワが残っている」、「常設されている固定セッティングのみで対応している」など明らかに作業の効率化や削減の形跡が見られます。

この納品までのプロセスを判断するのは依頼主であり「価値観の違い」があるのは当然ですが、撮影業務に携わる側としては、「準備をすれば防げるミスや品質を向上を図れる部分」であるため、残念な気持ちになります。

注意すべきは、同じ物撮り料金であっても「業者によって弊社と同じ作業工程数を行う保証はない」ということです。
たまに問い合わせ頂くお客様で、「他社の方が安いから迷ってる」という人がおりますが、本音を申し上げれば「物撮り料金だけが気になるのであれば他社で撮ってもらった方が良い」と感じています。

商品撮影サービスに携わっている人間であれば、作業経験から「絶対に省略してはならない作業項目」というのは理解しているはずです。
物撮りをはじめとする商品写真を依頼する前の心構えとして上記に挙げた10項目中8割程度は「外注先が行うべき作業」としてお客様も要求しても良いと感じます。

撮るだけであれば素人でも商品写真は撮影できます。
代行業者に頼むメリットというのは、単純に物撮り料金の高い安いでは推測できないもだと思います。

物撮りを行うカメラマンがバイトなら安い

カメラマンのコストダウン方法
前章で挙げた10項目以外にもう1つカメラマンを誰が担当するかという重要なポイントがあります。
大手撮影業者が、なぜ大量のネットショップの顧客対応ができるのか?

これも考え方の違いではありますが、弊社のような少人数で商品撮影を回していくには、「受付可能なショップ数」に限界があります。
「受付数を単純に増やす方法」としては、カメラマンを雇用するのが手っ取り早いのですが、撮影は技術職です。
事務をやってるバイトがいるから「明日から撮影もお願いね」という具合に簡単に代理が可能な仕事ではありません。

でも・・これと同じようなことが商品撮影の業者に起こっていたとしたら・・
もう物撮り料金の相場なんて、「何を基準にしたものか不明瞭極まりないもの」となってしまいます。

カメラマンの経験と技術

ちなみに「商品撮影 カメラマン 求人」でググってみて下さい。
世の中には実に多くの「アルバイトカメラマン」が多いことに気づくはずです。
経験不問・写真の撮り方から学べます・・・

どれだけカメラが身近なものになり、誰でも手軽に撮影ができる世の中とはいえ、雑誌の現場を多く経験し実績のあるカメラマンと、昨日までコンビニでレジ担当だったノンキャリのバイトカメラマンが同じ物撮り料金で対応されたら、依頼元の心情は穏やかではないはずです。

何度も書きますが、「物撮り料金の安い・早い」には理由があります。
バイトカメラマン対応時は低料金ということを謳っているサイトならまだ良心的ですが、単に物撮り料金の相場より安くしたい運営方針で展開されている商品撮影サービスには注意が必要です。

写真撮影という基本的な技術だけを見れば、「プロ・アマの境界を引くことは難しい」
しかし、決定的な違いは本職としてのカメラマンは総合的にアマチュアに劣っている部分はなく、アマチュアバイトカメラマンはプロに劣っている部分が多々あるという事実は揺るがないのです。

物撮り料金とは、「誰がどういった工程をこなして作業」を行っているのか。
これが気にならないお客様っていらっしゃるのでしょうか??

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時間換算できない物撮り料金

時間で撮影料金を決めるメリット
物撮り料金を時間で算出する。
こうした時間制による撮影プランも物撮りにはよく見られる料金プランです。

弊社としては曖昧になりがちな「時間で計算」という撮影料金の設定は行っておりません。
現在の撮影事情で申しますと「後から撮影費用がかかった分を請求するスタイル」であれば、作業開始から終了まで要した費用を計算するだけなので、業者も心理的に余裕があります。

私の経験則では、ロケ先でモデル撮影などを行って、メイク時間や着替え、セッティングの変更や搬入・撤収作業まで、「クライアントが欲しい写真が撮れるまで行う環境」は撮影者にしてみたら、とても恵まれた環境です。
例えば1着目は20分で終了したが、2着目のコーディネートは撮ってみたら、ヘアメイクの変更をした方が良いなどの手直しが入り1時間弱かかった・・という不測の事態も「後から請求」は心強い・・というかクライアントに感謝ですww

これをネット向けの商品撮影で適用すると、1時間で約○着は撮りますという、「時間制なのか撮影数算出なのか不明な料金設定」になる。
失礼な言い方ですが、雑誌広告用の撮影とは違いネットショップ用の商品写真を望むお客様は予算を少なくしたい傾向が強いと感じています。

事実、ネット上では「1時間で15着撮ります」みたいな「脱こだわり写真」を宣言するかのような文言も多く飛び交っており、予算を抑えたい人にとっては、こうした曖昧な料金の相場の動向は、目の上のたんこぶでもあります。
では、撮影現場でよくある次のような事象が生じた時、どんな対応が望ましいでしょうか?

1時間で10点撮影保証として、1時間分の物撮り料金を頂いたとします。
品番AからJまでの10商品を1時間で終了予定でしたが、8番目の品番「H」で成形など撮影準備に時間がかかることが判明!
品番Hもキチンと時間を延長し成形すれば「もうワンランク上の商品写真」になることは明白ですが、1時間分の料金しかもらっていないので、他の商品の撮影時間の兼ね合いで、パパっと成形して品番Hを撮影してしまう。
逆に品番Hに時間を費やし、延長料金を払う・・どちらを希望しますか?

撮影業者に頼むことに慣れていないお客様は、こうした事象で必ず「延長しないようにお願いします」と発言することが多いのですが、個人的には、「綺麗に仕上がることが明白なら撮るべき」と感じます。

そもそも時間で撮影料金を算出するシステムに問題があると言えばそれまでなのですが、「時間制での撮影料金の算出にはこうした無理が生じる」ということを覚えておいて頂きたい。

撮影業者も依頼主が求める商品写真が「時間」または「商品数単位」のどちらで計算・実施するのか適切なのかをアドバイスするべきであり、個人的にはカタログなど雑誌撮影経験の無い依頼主に対して、「時間計算の方がたくさん撮れる」と宣伝することに疑問を感じます。

時間制の撮影というのは物撮りを行う商材によって料金がお得にも損にもなることを忘れないで頂きたい。

撮影機材より仕上がり品質

撮影機材や設備は物撮り料金に無関係
商品撮影サービスの中には、「○社の高級一眼レフ採用」とか、「圧倒的な解像感!」という宣伝文句を行っているケースがあるが、正直申し上げて、ネット用の商品写真で、最新のフラッグシップ機は必要ないですし、解像度に関して言えばネット媒体で圧倒的な解像感を伝えるシーンは5年に1回あるか無いかのレアケースです。

貴金属や腕時計など、細かい装飾がされた商品には、やはり高級な撮影機材が必要だと感じるかもしれないが、「写真とは光の産物」です。
本当に最新の高級機材でなければ満足のいく商品写真が仕上がらないのであれば、昭和の時代にジュエリーなどの宝飾品の撮影ができなかったかと言えば、「十分できている」というのが正解です。
撮影業務に携わる人間が撮影機材を選ぶ目的は、「写真を撮る手段だけ」です。

極端な例を挙げれば、商品撮影を行うのに魚眼レンズは選ばないですし、業務レベルに耐性の無いストロボも使わない。
これはごく当たり前の選択であり、いずれも「高級○○」という必要性はありません。

趣味でカメラを購入した経験のある人であれば「価格.com」をチェックした人もいるかと思います。
例えば商品撮影用にカメラを購入しようと思って、そこにA社の最高級一眼レフを実際に購入した利用者が、作品例として、ペットの写真や野山の観光写真を掲載していて、「おぉ!参考になる!」なんて思わないですよねww

所有欲という観点でみれば、用途は問わず最高のカメラを入手したい気持ちも分りますが、商品写真に必要な機材は「目的を達成できるかどうか」です。

これを踏まえて考えれば商品撮影サービスを行う業者が、「撮影機材にこだわりを見せる事」は、少し的が外れたアピールだと感じてしまいます。
ネットショップに訪れる消費者が商品写真を見て、「あっ!、○社の一眼レフで撮影されているから買う」なんて購買衝動が湧くことは絶対にありません。

商品撮影を行う業者に大事なことは、「目的に合わせた撮影機材を常時駆使できること」であり、商品写真に求められる優先順位は、「綺麗な写真よりも、キチンと目的意図の分かる写真」が重要だと考えます。

物撮り料金の相場と比較方法のまとめ

物撮り料金で撮影スタジオを選ぶ理由
商品撮影における、物撮り料金の決定や撮影に必要な項目や機材についてお話しましたが、まだまだ現状のネットサービスについては感じる部分はございます。

現在のように商品撮影の代行を行う業者の物撮り料金の相場はもとより、写真屋が本来行うべきである作業項目を見直す時期が来ているのかもしれません。

僭越ながら申し上げるとすれば、「必要な作業項目を削ってまで料金単価を下げるべきではない」と感じます。
物撮り料金の相場に惑わされない、自信を持って提供できる商品写真を納品し続けることが、今の撮影業者に求められることだと考えております。

いずれも料金という数字にこだわるか、写真にこだわるかの違いのような・・

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