物撮りの格安サービスについて撮影業者として、何かと意見を申し上げている当サイトですが、何年かぶりにネット上で「物撮り」を行っているサービスサイトのページを拝見してみたら、「衝撃の!」とか「なんと!」のような感嘆符を用いて、いかに自社の物撮りが格安の料金体系なのかをアピールしている状況というのは、数年前からそれほど変わっていないようです。
商品撮影、特に物撮りジャンルは、個人・企業含め相当な数のサイトが乱立しており、価格を下げた商品写真の提供を心掛けなければ、撮影だけで生き残るのは難しい時代なのかもしれません。
しかし、事実として弊社のサイトが、ネット検索で上位表示される機会が多くなると、こんなにも既存の格安と呼ばれる物撮りサービスに疑問を感じているネットショップが多いことに驚いてしまいます。
こうした担当者側からの生々しい意見が聞ける原因は、このブログで“本音が過ぎる記事”を書いてしまっている影響だとは思いますが、企業が販売用に掲載する商品写真を格安作業だけを求めてネット検索し、物撮り業者を選んでいるのではないことを実感しています。
弊社の物撮り料金は、格安とまではいきませんが、少数精鋭で撮影対応をするには、十分な価格設定をさせて頂いています。
対して、大手と呼ばれる企業の物撮りサービスは、スタッフの数も多ければ、人件費に加え、諸々の固定費もかかるはずです。
何も考えずに、大量受注・格安撮影というコンセプトだけを信じるのであれば、業務として成り立っているように感じますが、、写真はデジタルになっても、物撮りの作業工程は、アナログ的な部分が多く占めていますので、格安で撮影を受け付け、作業するには、多少の無理が生じるのは自然な流れではあります。
今回は、格安な物撮り業務に関してのマイナスな記事ではなく、どんなネットショップであれば、格安な物撮りサービスで満足のいく結果が得られるのか?
簡単なチェックをして頂き、該当箇所するようであれば、利用価値はあると思いますので、ネット上で「うちが業界最安値!」と謳っている物撮り業者を利用してみるのも良いかもしれません。
物撮りを格安に済ませるチェック項目
物撮り料金の価格というのは、単純にサイズや数によって決まるものではありません。
例えば、お皿というカテゴリーで考えてみてても、材質がガラスなのかプラスチックなのかでも、撮影するまでに必要な時間は異なります。
物撮り業者が商売として考えるのであれば、「商品ごとの難易度」に合わせて撮影料金の見積りを行う、またはある程度の難度を想定して単価提示をするはずですが、幸か不幸か、格安の物撮りサービスの多くは、何でもかんでも平置き○円というザックリした提案をしてしまう傾向にあります。
こうした条件を考えると、撮影に時間を要す商品を扱っているネットショップが、格安業者に依頼してしまうと、費用に見合ったサービスが提供できなくなったり、撮影上のミスが生じてしまう状況は容易に想像ができます。
では逆に格安の物撮り業者が想定している商品を扱っているネットショップであれば、ミス無くお得に物撮りをサービスの恩恵を受けることができると思いますので、以下のチェック項目に該当する場合は、他の撮影業者のサイトを覗いてみても良いかもしれませんよ♪
格安の物撮りを希望するネットショップ様へ!
以下の10項目に該当するものがあるのかチェックしてみましょう!
- 新規立ち上げのネットショップで、何よりも外注費用を抑えたい
- 他社との競合がないオリジナル商品であり、販売が自社のみである
- 食品や飲料など有名メーカーの商品を扱っており消費者も商品の理解がある
- 既存のショップへの訪問者数や販売数に満足している
- 商品写真は、どこで撮っても同じだと思っている。
- イメージ写真は既に撮影済であり、説明用のシンプルな画像だけが欲しい。
- 撮影時のセッティングなどは特にこだわっていない
- 素人写真では困るが、カメラを購入してまで自社で撮りたくない
- 自社撮影レベルの写真で問題ないが、作業の時間や手間を省きたい
- 「あの大手通販サイトも採用」という言葉に弱いw
以上、10項目に該当するようであれば、1商品あたり500~900円程度の一般的に格安と言われている物撮りサービスを試してみるのも良いでしょう(最後の項目は少々おふざけが過ぎますが・・)
物撮りを安く済ませたら実践すべきこと
物撮りを格安で依頼することができれば、あとはネットショップに写真を掲載して販売するだけ!
ではありません・・
ネットショップで売上を上げるための優先事項として、まずは多くの消費者の目に触れることが最優先であり、商品写真が活躍するのは、訪問者がいてこそ効果があります。
訪問者がいない状態で、どれだけ綺麗な写真を並べても意味がありません。
物撮り写真は、「商品を販売するための素材」であって、訪問者を呼び込むものではないことを理解して、それぞれの出店先、または自社サイトのシステムを理解して、商品ページの構成を真剣に考えていきましょう。
往々にして格安の物撮りサービスを好むネットショップの傾向として、“せっかちな店舗” が多く、せっかちな性格は、ビジネスのセンスとしては悪いことではありませんが、商品ページを構成していく上では封印した方が賢明です。
例えば、商品ページの仕様として制限されている文字数いっぱいに、関連する言葉を含めた説明文が書かれているのか?、またページタイトルとして個別の商品と関係のあるキーワードを適切に使っているか?など、商品写真よりも時間をかけて、じっくり向き合うべき項目は非常に多くあります。
個人的にネットを見渡す限りでは、撮影サービスの格安、激高に関わらず、販売窓口となるページやECサイト全体のテキストバランスが良いネットショプは必ず成功しています。
個別ページ上の文章が多いということは、それだけ商品を説明するための写真のカット内容も明確になるということであり、どんな物撮り業者に依頼するにしても、ページ構成の着地点が見えている分、撮影指示も的確で無駄がありません。
こうした一連の流れが上手なネットショップは、物撮りよりも先に販売ページの完成形ができており、無駄な撮影カットを追加しない分、格安に撮影自体を依頼・終了させることができます。
外注費用を安く済ませるために、どんな準備をしているのか?
同じ物撮り業者を利用しても値段の違いが出ることを理解しておくことも大切です。
物撮りを格安で済ませることは悪いことではない
格安という言葉を連呼してしてしまうと、低価格で行っている物撮りサービスに “何かしらの問題” があるように感じるかもしれませんが、決してそうではありません。
現在のネットサービスで生き残っているという事実を考えれば、単純に撮影単価を下げただけでは利用する企業の満足度は得られませんので、納品スピードや大量に商品を捌くための受付システムや人員配置の業務体制など、低価格を実現する努力があることも見逃してはいけません。
個人的に安い物撮りに関して難色を示す記事を書く理由は、「優良な撮影業者」が生き残る余地を与えて欲しいからです。
ネット事情に精通した大手企業は、商品撮影や物撮りというジャンルに参入すると決めれば、あっという間に検索結果を変えてしまいます。
例えば20年以上、地道に企業向けの商品撮影を行い、ネット上でのサービス展開に踏み込んだ時に、老舗の撮影業者が、一気にアルバイトカメラマン程度の技術と比較され、低価格化を余儀なくされてしまう状況を好きにはなれません。
競争原理という視点からすれば、自然な流れではありますが、考え方によっては、「本当に良い撮影業者と出会うための可能性を下げている状況」とも言えます。
ネットショップによって物撮りサービスに求めるものは違います。
徹底して撮影単価にこだわる業者選びも、写真を撮る人、サービス全体でこだわる業者選びも、依頼側が判断すべきことです。
経験上、外注先に何を求めるかによって、ネットショップの「何に重きを置いているのか?」という売り方の姿勢も出ていたりするので、物撮り業者としては、そうした販売上の特性も視野に入れて、サービスの方向性を考えるべき時期なのかもしれません。