商品撮影&写真について スタジオブログ

商品撮影キットをネットショップが導入する時に気をつけること

商品撮影キットとはこんな撮影補助用品

商品撮影キットとは
商品撮影キットという言葉を聞いたことがあるネットショップ担当者は多いと思います。
簡単に説明しますと、「商品撮影キット=商品写真を取るための道具一式」を指しますが、キットのタイプには種類も多く、コンパクトに持ち運べるBOX型のものから人物撮影まで行える大型のキット、いずれも照明機材の付属の有り無しや、機能性などによって価格帯も、1,000円台で購入できるものから10万円を超えるものまで商品撮影キットの種類は豊富です。

基本構造としては、天井、左右から照明を当てることができ、ボックス中央に撮影したい商品を置けば、

「あら!不思議!誰でも簡単に綺麗な商品写真が出来上がる!」

実に撮影初心者にとって、神アイテムのような撮影機材が商品撮影キットです。

宣伝が上手だなと感じるのは、

「商品撮影キットでプロレベルの写真が撮れる!」

という言葉を避けているのがポイントかもww。

誰でも簡単にキレイに撮影、ハイクオリティ&低コストなど、日本語の妙と言いますか、間違っても「プロ品質」という言葉を書いたら何かに怒られそうなので避けてるの?という印象も受けて面白い。

撮影業者がこうした商品撮影キットを使うかどうかという部分については後の章で触れるとしまして、BOX型の撮影キットについては、ネットショップが増える中で、自社で商品写真を撮りたい層には、関心のある分野でもあります。

まず大前提として、

写真を学ぶのか?、写真が撮れれば良いのか?

この商品撮影キットと呼ばれる商品を見ていると感じることがあります。

ネット時代の思考としては、「手軽に簡単、プロ並みの品質」という海外のSF映画のように、熟練の技を学ばなくても技術がインストールされるかのような、実に単純明快な宣伝方法ですが、例えば商品撮影キットを使って最初のうちは「自分の中で納得できる写真」が撮れていたとします。

そして、自社で扱う商品を撮影していくうちに、「この写り込みが気になるから何とかできないかな?」と撮影した写真に不満を感じた時に、写真を学んで解決するのか、アマゾンなどで、「写り込み解消キット!気になるアノ写り込みが嘘のように消える!」なんていう触れ込みでオプションキットを探して、購入してしまうのかで、商品写真への取り組み方が決まるような気がします。

要は写真が撮りたいだけなのか、写真を学んで撮影を始めるのかによって、選択肢は常に変わるということです。
商品撮影キットを、極端に分かりやすく表現するなら、何も知らない人でも綺麗な感じの写真を撮るための道具です。

撮影業者がこの世の中に出回る商品撮影キットで撮られたサンプル写真を見て感じる問題点を、一般の方は気にせず、良い写真が撮れるものとして商品撮影キットを買う人がいるということは、嫌味っぽいですが、そもそも一般の方が商品写真の善し悪しを決めるポイントを知らないという証明なのでは?と感じます。

商品写真の良し悪しの判断の第一関門は、ショップ側が決めれば良いので、商品撮影キットで撮る写真で満足であれば、それ以上、否定はしません。

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商品撮影キットで撮れるもの

商品撮影キットで撮れるもの
いわゆるボックス型の商品撮影キットは、そのボックスの大きさによって撮影可能な商品サイズが決まります。
基本的には「腕時計や貴金属、小物雑貨」などを中心に「誰でも撮れる簡単写真の紹介」をしていますが、少し大きめのトートバッグなど、ボックスに入りきれない大きさのものや、中に入ったとしても「背景など写したくないもの」が写る状況では使えません。

商品撮影キットのサイズに収まり撮ることが可能な商品を考えると・・・
かなり限定的な使い道になるような気がしています。

例えば靴をネット販売しているオーナーが、こうした一般的なサイズの商品撮影キットを購入したとして、ロングブーツなどは撮影NGとなりますし、靴のカラーバリエーション用の集合写真の撮影も無理ですので、1カラーごとに撮って、後で合成するしかなさそうです・・

サイズによって撮れる撮れないが生じる、単純に考えると「もっとパターンを用意して欲しい」と感じるかもしれませんが、それは無理な話です。
理由としては、商品撮影キットというのは、「写真を撮る」という出発点が根本的に違うからです。

本来、商品撮影を行う業者が作業をする流れとして、セティングされたスペースに商品を置くのではなく、「撮る対象物に合わせてセッティング」をします。
つまり市販されている商品撮影キットは、プロの現場とは考え方の始まりが逆であり、商品撮影キットに合わせて商品を決めなければならない。

当たり前のようですが、これが商品撮影キットがプロに受け入れられない最大の理由です。
撮影可能なエリア(サイズ)を可変できないものは、保管場所の邪魔になるか、写真教室などで使う「写真に慣れてもらうための道具」になるのがオチです。

商品撮影キットは「誰でも綺麗に撮れる!」という言葉よりも、「本当に撮れる商品のバリエーション」をじっくり考えてみることが大切です。

商品撮影キットのメリットとデメリット

商品撮影キットのメリットとデメリット
厳しいことを書いておりますが、では商品撮影キットは、「本当に使えないのか?」と言えば、「撮影するジャンルが合えば重宝するアイテム」と考えています。
例えば、アクセサリーのみを扱うショップなど、商品撮影キットのボックスに収まる商品ばかりを扱うのであれば、「手軽で簡単」、これは間違いありません。

このように条件さえ合えば便利な商品撮影キットですが、僭越ながらアドバイス何点か挙げさせて頂くとすれば、まずは「照明の種類」に注意していただきたい。

撮影する商品に向けて直接当てる光源として、LED照明は直線的(拡散しにくい)性質がありますので、慣れない人は扱いが難しい気がします。
購入予定の商品撮影キットで照明タイプの選択ができるのでしたら、蛍光灯タイプの方が扱い易いと感じます。

そして、値段の振り幅も大きい商品撮影キットですが、「組み立て完了時に安定したもの」であれば、安いもので構わないと思います。
各社、ボックス内に照明を組み込んだタイプや、専用の外付け照明スタンドを付属しているものありますが、初めて買うのであれば、単純にボックスだけを購入し、照明機材はまずはお持ちの照明で、商品を置いて照明を当てて仕上がりイメージを見る。
後から多方向から照明を当てたくなったら、ホームセンターなどでディスクスタンドライトを安価に揃えた方が価格的なメリットも得られます。

高額な商品撮影キットでは、ボックス内臓の照明で〇〇ルクスの大光量!という光量の強さを謳ったタイプもありますが、撮影照明は、「近づけたり離したするのが基本」ですので、照明内蔵型のように商品と照明の距離の変更ができないものは、取り回しの幅が限られる点でデメリットに感じる場面が出ると思います。

「まんべんなく均一な照明を当てる基本」は、大きな面で当てることですので、光量が強い弱いは、カメラ側で設定ができれば、さほど気にする必要は無いかと感じます。

ここまで来ると気づいた人も多いと思いますが、商品撮影キットの最大のメリットは、室内照明などの邪魔な光をカットして、光をコントロールすることができるものが商品撮影キットです。

商品撮影キットの役割に気づいた人は、次に何を思うのか?
商品撮影キットのデメリットが「撮影する商品サイズに影響される」ということ、逆にメリットとして「余計な光を遮り、コントロールされた光を当てることができる」ということは、この条件を自分が扱う商品サイズに合わせて商品撮影キットを自作(DIY)できないかという探究心です。

答えは、120%商品撮影キットは自作できますww

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商品撮影キットを自作してみる

商品撮影キットを自作してみる
では、実際に商品撮影キットを自作する手順とコツをご紹介したいと思います。
まず、みんな大好き100均のダイソーに行き、カラーボードの白を5枚購入とトレーシングペーパー(適宜)購入します。

今回は照明を当てることができる仕様にしたいので、カラーボードにひと工夫していきます。
照明を当てることを想定し、商品撮影用のボックスを自作する場合は、ボックス上に組み立てる前に、用意したカラーボードの5枚中4枚を
カッターで内側を切り抜きます。
必要な部材と組立方法
そして、トレーシングペーパーを切り抜いた箇所に貼り付けます。
トレーシング貼り付け付けていない(切り抜いていない)カラーボードを底面にして、ボックス上に組み立てます。
あとは、適当なデスクライトなどを用意して天井、左右、背面のどこからでも良いので、「商品が綺麗に見えるように照明を当てます」
これで、基本的な商品撮影ボックスは完成です。

照明機材を使わない場合(ボックスにするだけ)は、5枚のカラーボードを組み立てるだけです。
貼り付けに使用するのは、これまたダイソーの白のガムテープで十分です。

これで市販されている数万する商品撮影キットと仕様は同じですww
陰影を作りたいなら、側面のカラーボードを黒にするなどアレンジも自由自在です。

全て揃えて高く見積もっても2千円もしませんし、何よりも商品撮影の基本である、「撮る対象に合わせたセッティング」ができますので、もっと大きいボックスを作ることも可能です。

片付けが簡単にできないとかツッコミが入りそうですが、コンパクト収納にしたいのであれば、ガムテープではなく、マジックテープなどで着脱式にすれば、使わない時は5枚の板状になりますので、「あの商品撮影キットよりコンパクト」になってしまうかもしれません!?

もちろん、こうした商品撮影キットを自作するのが面倒だと感じる人や組み立てる自信が無い人は、商品化されたものを購入して活用することをオススメします。

要は「商品撮影ボックスの目的」を知ってもらうことで、「この商品撮影キットだから撮れる」のではなく、キットの意味を知れば、だれでも自作できる、簡単なセッティング作業なのだということを理解して頂ければ幸いです。

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プロは商品撮影キットを使うのか?

商品撮影キットとプロの商品写真
最後に商品化されている商品撮影キットをプロの撮影業者は使うのか?という部分ですが、他社の撮影スタジオや業者は分かりませんが、弊社では「使わない」ですw

前の章で100均アイテムで制作する事例を紹介しましたが、撮影用の部材を使えば「商品撮影キットより便利な環境」は構築できます。
どのように撮影のセッティングをするのかも「撮影スタジオの特徴」となる部分ですが、個人的には商品撮影キットのような撮影機材の事よりも、撮影する商品ごとに調整する「光の質感」などの方が気になります。

同じ機材、同じ照明器具を使っても、撮影する人によって「商品写真の仕上がり」は変わります。
そこが業者の腕の見せ所であり、「代金を頂いて撮影代行をする責任」だと感じています。

一般の人が商品撮影キットを導入する目的は、「手軽に商品写真を見せるレベルにする」ことであり、商品撮影キットを販売しているページで、「プロと変わらない」という名目で「プロとキット写真の比較」が掲載されていることもありますが、そもそもプロの写真として公開されている比較写真自体がお粗末写真なのでw、意味はないと感じています。

プロの写真にも色々ある時代ですので、「自分の方が綺麗に撮れる!」という人は、市販の商品撮影キットの導入を検討してみてはいかがでしょうか?

ちなみに私は、商品撮影キットを買うことは一生ありませんww

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