商品撮影サービスをやっていると避けて通れないのが、撮影料金、単価の割引交渉になるシーンです。
弊社の場合、撮影対象となる商品ジャンルやカット内容を検討して、“最大限の努力” は、行っているのですが、そうした調整を試みて、最終的なお見積書を作成、提出していても、稀に常套文句として発せられる言葉が、
「他の撮影スタジオは、もう少し単価は安くなるんだけど・・」
本当にサラッと言われる脅し・・いやwwお願いですw
本音としては、別のスタジオの撮影料金のシステムは、そもそも「撮影作業の内容も質も違う」と、事細かく説明したい気持ちを抑えつつ、値下げ交渉のみに固執される担当者への対応については、一定ラインを超えたら、価格交渉を打ち切り、弊社側から商品撮影サービスの問い合わせ自体を白紙に戻し、丁寧にお断りしています。
撮影単価の値下げについては、弊社で頑張れる範囲は尽力しますが、過度の値引きを求めるお客様を断る理由は2つあります。
1つは、弊社サイト、商品撮影.SHOPで公開している撮影単価は、社内でネット上での撮影料金の相場の調査、必ず行うべき作業項目、納品先の使用目的などを検討し、基本セットとしてお客様が満足できる結果を出す「適正な撮影単価」です。
各撮影プランごとの料金ページにも記載をしておりますが、撮影内容によっては単価調整は行います。
作業内容を精査して余計な費用は頂きませんが、作業に必要不可欠な費用は仕事なので頂戴しますw
例えば、1商品5カットで1,300円の平置き撮影で、カット内容を5カットから3カットに減らしても、大手撮影スタジオのようにオーダー時にショッピングカートで、1商品単位で決済するシステムでは、カット数を減少させても同じ1商品としての扱いになり、いずれも1商品1,300円のままです。
しかし、弊社の場合、撮影内容が減少変更されれば、作業時間が短縮される分を撮影単価に還元して基本単価の1,300円よりも安くしていきます。
このように弊社の人件費を含めた作業内容に対して算出する撮影単価・トータル料金から、弊社とは関係のない撮影スタジオの単価を引き合いに、価格交渉をされても、弊社は弊社、他社は他社ですので、弊社スタッフのモチベーションを下げるような「ボランティア活動は行っておりません」となるワケです(スイマセン)
そしてもう1つは、実際に弊社を利用して頂いているお客様(既存の取引先)との信頼を裏切りたくない気持ちもあります。
既に弊社の撮影単価に賛同・了承頂き、定期的に撮影オファーを頂いている企業よりも、後からオファーした不定期&新規ショップの方が単価の面で優遇されていたら、信頼関係にヒビが入りますよね。
弊社のように本音で撮影単価について公開し、ブログを更新しているスタジオは珍しいかもしれません。
また稀に「有名なネットショップからオファーが来たら、一律と言ってもさすがに撮影単価を考え直す(優遇する)でしょ??」という、時代劇の悪代官とのやり取りのような妄想を抱く方もいらっしゃいますが・・・w
例えば、オープンして間もないAショップの撮影単価が1,000円、このショップは2ヶ月に1回10点ほどの撮影依頼して頂いたとします。
そこへ大量の商品を扱う有名企業Bショップが現れ、隔週で100点の撮影オファーを出すから、単価を600円にしてくれ!と申し出たとします。
月間で200点の商品撮影が定期的に来る!、さぁどうする!?
弊社の答えは、大量オファーであっても、著しい単価調整はしません。
つまりNOです!
BショップにもAショップ同等の撮影単価でお願いしています。
そもそも商品撮影サービスの分野で、
『大量撮影を発注するから撮影単価が劇的に安くなるシステム』
コレ・・やめませんか??
焼肉屋さんの“牛の一頭買い”と違い、撮影業務は点数が増えても弊社スタッフの労働時間は、全く変わりませんww
大量・大口撮影という交渉材料で、同じ労働をしても賃金が下がるなら、Aショップのような企業を優遇し、小口であっても正当な商品撮影の単価で依頼をして頂けるお客様の方が“ありがたい”のが、本音です(笑)
丁寧かどうかはさておき、大量の商品を爆速で捌いて、撮影単価を激安にする・・
レーン作業&単純照明で商品撮影を行うスタジオなら可能ですが、弊社のように個別にライティングを設定したりや撮影プランを組む受付体制では、「商品と向き合い、きちんと作業する」、この前提が崩れるのなら、どれだけ仕事量的には嬉しいお客様でも、写真屋のプライド的に満たされるかは別の問題になってしまいます。
撮影作業の質の違いや、個々の撮影スタジオの考えについては、ここまでにして、今回は商品撮影サービスの撮影単価、配送料までしっかり考えて外注先を選ぶと、本当に安い撮影業者が見えてくるのでは!?と思ったので、具体的な事例を踏まえて、公開されている撮影単価だけでは見えてこない部分を考えてみましょう。
商品撮影の依頼先の配送料と遠方手配の注意点
商品撮影を行う商品を撮影スタジオに配送する。
ほとんどの撮影スタジオは商品の配送・返送料については「お客様負担」になっています。
全国からの撮影受付条件として見れば、だいたい配送料はお客様負担となっているので、送る側は、少しでも配送料を抑えるために配送個口をコンパクトにまとめて梱包するはずです。
当然、こうした梱包作業は「撮影依頼先が決まった段階」で考えることが多いと思いますが、商品撮影の業者選びの段階から、自社(発送元の地域)から「どの地域の撮影スタジオ」に配送するのが安価になるのかを考えたことがありますでしょうか?
意外と皆さん、撮影単価の値下げ交渉には熱くなりますが、往復の配送代まで考えていないこともあるのでは?
もちろん例外として、配送業者との契約で全国どこでも・サイズ問わず一律の配送料となっているEC企業のケースもありますが、それ以外は、普通に配送品の「配送先(距離)・サイズ・重量」によって個々の配送代金は異なります。
例えば、沖縄からネット検索をして、撮影単価の安い商品撮影サービスを見つけたとして、配送先が北海道だったら・・
正直、賢明な外注先を選んだとは言えないでしょう。
また、発送元から過度に離れたエリアへの商品撮影の依頼には、次のようなデメリットが生じる場合があります。
遠方の撮影スタジオに依頼する時の注意点としては、主に2つあります。
1つ目は、配送・返送までに日数がかかるので、サンプル預かり期間が決まっている商品を扱う場合は、預りから撮影作業までの猶予期間に注意が必要です。
急ぎの希望を撮影スタジオに伝えて、基本の撮影単価は安かったとしても、即日対応を申し出たら追加費用が発生してしまったのでは、何のために比較検討したのか本末転倒の結果になります。
続いて2つ目は、撮影スタジオと交渉している担当者と、発送する担当者が異なる場合も注意が必要です。
例えば、在庫を預かる倉庫(センター)から直接発送される、営業所と商品発送の住所が異なっていたりすることで、撮影スタジオと交渉している担当者が、直接発送商品のチェックや手配が出来ない場合によくあるケースとして、商品の梱包漏れや、撮影予定の商品カラーと異なるカラバリを入れてしまったりする人為的な配送ミスが生じることがあります。
当然ながら近隣の都道府県よりも、遠方の撮影スタジオに頼めば、オーダー後に商品の数が増えたり、梱包間違えによるサンプル商品の入れ替えを行うための配送日数も必要となりますし、安価な撮影スタジオでは、撮影当日にしか商品チェック(開梱)を行わず、梱包漏れや、配送ミスにギリギリまで報告が来ないという事例もあるので、配送前に撮影スタジオ側へ配送物のチェック体制の流れを確認しておく必要があります。
良心的な商品撮影スタジオであれば、必ず撮影用のダンボール(商品)が到着したら、荷物の中身を連絡内容(品番表など)と照らし合わせて相違ないかを必ずチェックします。
弊社に乗り換えるお客様からお聞きした事例では、スタジオ側から撮影商品が無事に届いたと連絡が来て、安心していたそうですが、いざ撮影当日になって、
「○品番の赤が入っていなかったから撮影ができませんでした」
と、事後報告され、お預かり品の開梱チェックが無かったことが判明!
実は、その撮影スタジオでは、荷物到着時には配送品のお荷物番号だけをチェックしただけで、中身を当日まで開けていなかった模様・・
さらに撮れなかった商品を再度撮影するには、別途費用が必要という、とんでもない報告もありますので、商品到着時に配送商品の数量や撮影予定カラーなど梱包間違いなどが無いか中身を確認・報告しないスタジオは避けましょう!
いずれも遠方だからダメという理由ではありませんが、「万が一」に備えて配送料を含めた撮影スタジオのトータルサービスとしての撮影作業や対応品質も検討材料に入れることをオススメします。
どれだけ撮影単価が安くても、依頼時に畳んで送ったアパレル撮影商品が、撮影後には、中身がグチャグチャに詰め込まれて返送されたとしたら、撮影料金がどれだけ安くても二度と依頼したい気分にはならないですよねww
同じ撮影単価で2つのエリアに商品撮影を依頼する
弊社の商品撮影サービスをご利用時の商品の配送先は、愛知県の名古屋市となります。
良くも悪くも日本の中心に位置しているためか、商品撮影の依頼元ショップをエリア別に見てみると、第1位は関東エリア、第2位が関西エリア、第3位が九州北部エリア、第4位が同じ中部エリア、そして第5位が四国エリアに分布しています。
一概に弊社の所在地によって商品撮影の依頼元エリアが決まったとは言いにくいのですが、意外と北海道や、九州南部からの撮影オファーが無いことにも気づきました。
もしかしたら、北海道や九州南部から荷物を発送しようとされているネットショップは、弊社(中部エリア)に荷物を配送した際の往復運送費を気にかけているということかもしれません・・
いや単にSEO対策ができてないからかも・・(笑)
少し気になったので、一度試算をしてみましたので、確認してみましょう。
まず、商品撮影の依頼条件として、東京から異なる2つの撮影スタジオに、同じ撮影単価で20点(梱包サイズ120cm)の商品を撮影依頼した際に、撮影作業代+往復配送料の合計がどうなるのかを見てみます。
※撮影内容の細かな設定は今回は便宜上同じとします。
・商品数20点を東京から発送依頼
・撮影単価は1点1,000円、合計は、税込21,600円
・梱包サイズ120cm 1個口
・配送業者はヤマト運輸を利用
撮影代金21,600円+往復配送料4,018円
合計は、25,618円
撮影代金21,600円+往復配送料3,154円
合計は、24,754円
上記から、異なるエリア2つの撮影スタジオに依頼した際の差額は、864円の違いでした。
同一撮影単価という条件で、東京から撮影商品を送った際に、配送エリアの違いによる差額は必ず出ます。
更に厳密に話をさせて頂くと、仮に北海道の商品撮影スタジオが「業界最安の撮影単価の1点980円!」と謳っていても、配送料を含めたトータル費用で考えるのであれば、1点あたり約960円でなければ、最安の撮影単価という文言は微妙なラインになります。
※あくまでも発送エリアから考えた指標としてお考え下さい。
こうして考えると、「商品を往復配送する」という項目が生じる商品撮影サービス(外注)は、単純に撮影単価が安いからという理由だけで決めてしまうと、トータル的に損をしていることもあるので、徹底的に撮影に関する費用を削減したいのであれば、撮影を依頼する先のスタジオ所在地も含めた総額をキチンと計算するべきだと感じます。
商品撮影サービスはトータルコスト&品質で考える
商品撮影に関するコストを徹底して見直す!
これは依頼元だけではなく、我々撮影を依頼される業者側にとってもメリットがあります。
例えば商品撮影サービスを行っていると、こういう場面に遭遇することがあります。
弊社の平置き撮影の規定カット数は、1点あたり5カットです。
クライアントが参加しているECサイト上で扱える画像は、上限7カットなのですが、7カット中5カットは他社で撮影を行った「モデル着用画像」で埋まっており、弊社から物撮りで納めている撮影カットの使用可能枠は2カットです。
となると、平置き状態での物撮りでの必須カットは2カットあればOKですので、予備カットを含め1点3カット納品で撮影を提案し、単価割引もできると提示しますが、いつも通常納品(カットは減らさない)を希望され、コストカットを見過ごされるケース・・
優良な商品撮影サービスを展開している業者の場合、依頼元ごとに撮影プランと料金を再検討することは、普通の事であり、作業量に対して正当な報酬を請求するためにも、「撮影単価・内容の見直し」は歓迎しています。
弊社の撮影依頼方法が、ショッピングカートに入れて、すぐに決済できるオーダー方式にしないのは、「顧客ごとに撮影内容を考える」、これが大事だと感じているからです。
服なら1点5カットで1,200円!
パパっとカートに入れて、決済してね♪
確かに撮影オーダを数字として捉え、概算金額を示すという点では、間違ってはいませんが、商品撮影サービスは、依頼先毎だけに留まらず、同じ依頼元であっても撮影回毎に対してもカスタマイズできることが理想のような気がします。
1商品の中にもこだわって撮影して欲しい箇所や、単価の見直しを希望する箇所・・
商品撮影という分野はスマートな受付方法が、必ずしもサービスの満足度を高めるわけではありません。
そうした複合的な要素を検討しながら、商品撮影サービスの業者を選ぶと、トータルコスト&品質の両方に満足できる外注先に出会えると思います。