服の透ける素材、薄い生地の撮影について
まずはオープン早々で、お問い合わせ頂きましたお客様に感謝致します。
商品撮影の方法についてはそれぞれプラン毎に詳細を確認して頂いておりますが、ご不明な点があればお気軽にご相談下さい。
ということで、今回ご質問があったのは、レディースアパレル商品を扱っているショップが、トルソー撮影を予定。
撮影を依頼する時、コーディネート用のインナーは自社で用意しなければならないのか?というものでした。
確かに春夏シーズンの女性用の服でよく目にする “生地の薄い素材” いわゆる「透け感」のあるアイテムです。
実際購入した人は、着用時にインナーを重ね着するのですが、撮影段階で実際の着用イメージに近づけるために、わざわざインナーを購入して用意するのは気が引けるというものでした。
でも意外とこういうお客様って多いんですよね。
「自社で用意するのが嫌だから平置き撮影」、でも本当は「トルソー撮影が希望」というパターン。
アパレルのモデル撮影でもよくある質問なのですが、弊社の場合、定番カラーとなるインナーアイテムやメインの商品に邪魔にならない程度の組み合わせ用のアイテムは備品としてストックがございます。
確かに透ける素材の商品をトルソーで撮影する時に、商品をそのまま直に着せ込みして撮影するのは、リアルといえばリアルですが、仕上がり写真の見た目も良いものではありません。
経験上、こうした生地が薄い素材の商品は「風合い」が重要だったりするので、平置き撮影よりも立体感の出るトルソー撮影が向いています。
アパレルに適した撮影方法とは
弊社のサイトの平置き撮影ページのサンプル画像にはシンプルな商品(トップス)の写真を掲載しています。
他のサンプルは帽子だったり、靴だったりしているのには理由があります。
アパレル商品の写真を考えた時、平置きで撮影を行う目的と、トルソー撮影で行う目的は違います。
ネット通販サイトでは圧倒的に「平置き撮影」のイメージが強いかもしれませんが、これには1つ条件があります。
「服の撮影で平置き画像だけで勝負しているショップは少ない」
これに着目して、普段みなさんが閲覧している通販サイトをもう1度ご確認下さい。
必ず売れているショップは、「服を平面から見た画像だけで販売していない」という事が分かるはずです。
例えば、「平置き撮影とモデル着用画像」、または「平置き撮影とトルソー撮影」、変化球で「平置き撮影とハンガー吊るし」など、必ず平面と立体という2つの説明画像をミックスして商品ページを構成しています。
物撮り専門サイトとしては、撮影方法を2つ選んで頂くことは理想ですが、それでは1つの商品にかける撮影費用も膨らんでしまいます。
撮影パターンが欲しいが、予算的に・・
そんな時は、応用としてこんな提案もしています。
「トルソー撮影メインでハンガー吊るしを1カット付ける」
要は、通常であればトルソー撮影で1着1,500円+ハンガー吊るし撮影で1,000円となるものを、カット調整を行うことで撮影単価を下げるという提案です。
そもそも商品撮影のオーダーというのは、多様なパターンがあって当然です。
そのことについては当サイトでも「撮影パターンの柔軟性」として謳っております!
撮影方法が2パターン欲しいというのは、「商品写真をより伝わりやすくしたい」というショップ側の心構えです。
そして、そうしたユーザー目線の販売を心掛ける担当者を支えるのが、撮影業者の仕事だと感じています。
もしも迷ったら、「服の撮影で色んなパターンで商品を伝えたい!何か方法はないか?」とお申し付け下さい。
ネットで撮影をオーダすること
こうした料金面から見た撮影方法の理想と現実というのは、ネットならではの「撮影サービスの受付システムを単純化する弊害」もあると考えています。
例えば、上記のように撮影方法を組み合わせるような自由にカスタマイズできるサービスを提供しようとすれば、撮影料金の項目は「応相談」となってしまいます。
本来であれば、「クライアントに合わせた料金設定」ができる柔軟性を意味する「応相談」なのですが、ネット上ではこうした書き方は、「料金が見えない不親切なサイト」と判断されてしまいがちです。
弊社の場合についても、一般公開しているそれぞれの撮影単価というのは存在しますが、単純にネット上で撮影数を入力、あとは決済ボタンで料金確定&オーダー完了!というシステム(手順)を採用していません。
まずはお客様それぞれに合った撮影方法と作業内容から基準単価にプラスするのか、それともマイナスにするのかを判断して見積書を作成・提出してから、最終的なオーダーを頂いております。
正直申し上げて、簡単にショッピングカートで受付できれば、労力的には格段に楽ができますww
しかし写真撮影という分野でサービスを行う以上、「省いてはいけない作業」があると感じており、撮影に入る前からできる「クライアントの意向を考える」良い機会だと捉えています。
ネットで撮影を受付けるということは、何も手軽さだけがお客様のためになるわけではないのかもしれません。
まとめ
商品撮影の相談というのは、初めて撮影を依頼する人にとっては、分からないことばかりです。
業者によっては、撮影方法によってセッティングが違うから撮れない!と一蹴する業者もいるようですが、きっとお客様が知りたいのは、同じセッティングで無理に撮った場合、どの程度の写真になってしまうのか?を気にしているのではないでしょうか。
撮影スタジオによって規則や考え方はあるとは思いますが、「もし撮影側が納得いくレベルではなくても、お客さんが納得できる」と判断すれば、そこは柔軟な対応をみせて決められた環境で最高のものを目指すのがプロなのではと考えます。
撮影方法に迷った場合は、まず撮影業者と話してみることで、「方法論より大事なフィーリング」が分かるかもしれません。
商品撮影とは、撮ることだけがサービスではありません。