商品撮影のサービス料金、業界最安値!
もし弊社が業界最安値の撮影単価のみに魅力を感じ依頼をしようとするネットショップに、破格の撮影料金を提示さえすれば、サービスとして強みになるのか?
個人的には、単純に料金を下げることには反対です。
最近はありがたいことに弊社の商品撮影サービスに対して問い合わせも増えており、ブログを読んで共感したという感謝しか無いお言葉を頂いたりと、気分的に“ほっこり”しているのですが、一方で、こんな問い合わせもあります。
たくさん出すから撮影料金を値引いてくれ!
商品写真のクオリティーは適当でいいから値引いてくれ!
他社と相見積りしてるから、撮影料金が安ければ、御社に決めてもいい!
などなど、お客様は神様だぞ!と言わんばかりの「上から目線wな態度」に残念な気持ちになることも・・
そもそも、商品撮影における値引き交渉というのは、どちらが先に提案するのが正しいのでしょうか?
言わずもがな商品撮影を行うカメラマンも人間です。
問い合わせをして頂いた依頼予定者の“人間性”も何となく気になります。
メールの文面や、お電話での相談で、「お客様の力になりたい!」と弊社側のスタッフが感じれば、敢えてお客様から商品撮影の値下げ提案をしなくても、作業内容や状況を考えて料金の見直しは行います。
A社の場合は、撮影までの成形(準備)が短時間で済む商品、B社の場合は、撮影まで時間が要する商品であったとしたら、当然ですが、A社とB社の値引き範囲は作業量に伴いますので異なります。
また、弊社サイト上で公開している商品撮影の各プランごとの単価については、自社で行う作業量と現状のネット上の相場を考慮し、「商品撮影.SHOPとして基準となる料金表示」を行っています。
基準となる撮影料金から、さらに値下げを行うには、「値引く理由」が必要だと思いませんか?
逆に何でもかんでも簡単に表示価格から値引きが成立するのであれば、最初から安い金額をサイト公開して欲しいと感じるはずです。
今回は、「弊社の商品撮影の料金が高いと感じるのはヤバい!?」と題して、価格交渉や撮影業務とは何かについて、もう1度考えてみようと思います。
御社にとって、撮影料金を値引いて欲しいと感じる理由は何ですか?
よくある商品撮影料金のネット比較
まず、弊社のサイト上で商品撮影の料金表示に関しては、「適正価格」という表現をしています。
ネットでよく見かける比較サイト系のセオリーからすれば、「他社よりも1円でも安くします!」となるのですが、弊社では、無作為に値引くという気持ちは、全くありません。
一番の理由としては、撮影という分野は、同じ商品を撮影しても代行業者によって、商品写真の品質や撮るための準備や作業量が違うからです。
例えば、同じソニーの品番Aというカメラをどこで買うのか?という比較であれば、カメラ自体はどこで購入しても「同じ製品」なので、少しでも安く手に入れたい気持ちも理解できますが、商品撮影というサービスは、“そもそも製品が違う”と考えるなら、単純に1円でも安くしますという触れ込み方法にも違和感を感じます。
本音を申し上げれば、単価ばかりを気にするネットショップと取引をし、撮影契約を継続していくより、商品撮影の内容と料金のバランスに理解のあるショップと仕事をさせて頂く方がメリットがあると考えています。
昔話になりますが、20数年前、まだまだネットがISDN回線だった頃から、私はサイト制作の仕事をスタートさせました。
当時は、ホームページやメールアドレスを名刺に記載している企業も少ない時代で、サイトの立ち上げを決める企業となると、尚更少ない時代でした。
私も駆け出しということもあり、サイト1ページあたり500円で制作します!と、意気込み破格の料金で代行したのですが、時が流れ、自分のスキルも向上はしましたが、最初に受けた作業費用500円という安さのギャップに心が折れ、やがてお客様と距離を取るようになり、横柄な例えになりますが、実力に見合った金額を頂けないのであれば仕事をする意味がないと悟りました。
この大切さは、経営者であれば、必ずご理解いただけると思います。
1度下げてしまった料金は、簡単には値上げできない
これは商品撮影の単価にも当てはまることで、初回の撮影料金をガツンと値引きをしたECサイトに対して、2回目以降で通常料金に戻そうとしてもお客様は「高い」と感じます。
撮影を受ける側が無理をして依頼者を刹那的に喜ばせても、リピーターにはなってくれません。
であるならば、ネット上での料金比較のように、1回しかオーダーしてくれないであろう見込み客に対して、身を削って撮影単価を下げ、右往左往する前に、商品撮影サービスとしての価値を上げていく方が賢明だと考えております。
撮影単価がいくら下がると安いと感じるのか?
商品撮影の値引き交渉。
前章から表現だと、外注費用を少しでも抑えたいと思うネットショップはダメだと勘違いされてしまうかもしれませんが、そうではありません。
私が伝えたいのは、価格だけに固執しているネットショップとは取引は控えたいということです。
実際に弊社も何のためらいも無く、弊社自ら撮影金額の見直しを行うことがあります。
それは以下のような場面になった時です。
1:販売商品への愛情があり、伝えたいカットが増える為、撮影プランを一緒に考えて欲しいと依頼された時
2:現在、他社の撮影スタジオで1点4カットで〇〇円払っているが、カット数は減っても写真の品質を上げて同額程度のコストになるようにしたいと相談された時
3:撮影商品の仕入れ状況により、一定数をまとめて撮影に出すのが困難な為、解決策を相談された時
などなど、簡単な事例を挙げると、このようなケースが目立ちます。
ん?何か気づきました??
あっ、一度に大量の撮影を同時に申し込んだら、ボリュームディスカウントがあるのか?という質問ですねww
もちろん、1回の撮影で50点以上の商品をお申し込みの際は、ご愛顧値引きとして、撮影単価の見直しを致しますが、大量撮影の大幅値引き・・
実はこうしたボリュームディスカウントの論理って、いまいちピンと来ないのが本音ですw
無論、何が何でも安くしたくないということではなく、一体いくら値段が下がれば先方は納得するのだろうと考えることがあります。
例えば、平置き撮影を100点オーダー頂いたとして、通常単価は、1,300円ですので、単純計算で総額は、税抜きで13万円です。
ここから大量撮影という名目で単価を調整するのですが、正直1点ごとに行う作業量は、100点であろうと2点であろうと弊社はすべて同じ労力を使うので変わりませんww
しかし、どこの撮影業者がはじめた理屈なのかは不明ですが、当たり前のように存在する「ボリュームディスカウント」という依頼者からすれば、魔法の言葉、請け負う側としたら憂鬱な言葉ww
値引きの相場としては10%OFF程度だとは思っていますが、中には「まとめて出すのだから、半額程度にならないか?」と無理難題を押し付けられる時があります。
皆さん、どう感じますか?
仮に御社の商品1点を500円で販売していたとして、純利益が200円とします。
その商品を100個まとめて買うから半額にして欲しいと言われても困りますよね。
いずれの場合も値引き部分というのは、サービス提供側にとっては、利益を減らす行為ですので避けたいのは正直な気持ちです。
では、どうやって値引き額を算出していくのか?それは、
正当な作業に対しての報酬分だけを請求する
弊社の場合は、小ロット、大量撮影に関わらず、撮影内容を見直し、総合的に値引きができる部分が無いかを探るようにしています。
先程の100点の撮影の場合で申し上げれば、まず弊社で常識的に許容できる範囲でのボリュームディスカウントを行いますが、それ以上の引き下げに関しては、撮影商品ごとのカット内容をすべて提出してから再検討させて頂くことにしています。
仮に100点の内の15点がカットが少なくて済む、または撮影時間が他の商品より短縮できるなどの理由で、作業負担が軽減できるようであれば、そこから値引き額を算出するようにしています。
商品撮影の料金が高い、安いという感覚は、ネットショップごとに変化します。
そうした漠然とした価値観で互いが交渉するのではなく、撮影を依頼する側、受ける側が納得できる落とし所を具体的に探ることが大切です。
とはいえ、破格の値引き要求をしてくるネットショップというのは、年に1,2件あるかないかですが、値段に固執しているネットショップに共通しているのは、「商品への愛情が薄い」と感じることです。
逆に私の経験上、成功しているネットショップの担当者は、綺麗に撮って欲しいけど、社内予算が厳しく困っている状況が多く、この両者の決定的な違いは、先行する気持ちが自社商品をもっとアピールをしたい衝動からくる値引き交渉と、単に経費を渋るだけの値引き交渉という根本的な隔たりがあります。
商品撮影サービスの提供側もプライドを
商品撮影サービスに関する価格競争は、今のネット上では盛んに行われています。
とはいえ、各社の撮影単価やカット内容から撮影に必要な最終的な総額を見ると、「大した差はない」というのが、私の感想です。
撮影代行サービスを行う業者が「自社のウリ」を強化するのであれば、商品写真の在り方という原点に立ち返って頂きたいと切に願います。
自社の商品撮影サービスの単価が、他社よりも10円安いとか、撮影納期が1日短縮できるとか・・
なんか・・それしかウリ文句が無いのは・・撮影スタジオとしてショボくないですか??w
もし、そうしたどんぐりの背比べのようなサービスの差に満足感を感じている撮影スタジオが存在するとしたら、写真屋としてのプライドはどこに置いてきてしまったのだろうか?と感じてしまいます。
食事をするお皿は、100円ショップで多種多様に購入可能で一式揃えられます。
でもなぜほとんどの家庭で100円の皿を、メインの食器として使っていないのでしょうか?
結局、安いだけの撮影スタジオというのは、依頼主からすれば、「その場の撮影を乗り切るための仮の外注先」でしかなく、低価格だけを追い続ければ、メインの撮影スタジオとしての昇格は遠ざかっていくでしょう。
1カット1万円でも商売が成り立っている撮影業者と、1カット100円でも高いと文句を言われる撮影業者
この2つの違いは、数字だけにこだわる撮影なのか、本来の写真品質にこだわるかの違いなのかもしれません。
ネットショップで物販を行うという状況は、数年前に比べ、明らかに新規参入組には厳しい状況があります。
そうした中で戦うための商品写真という素材を提供する側が、「安い価格で写真撮ります!」と懇願するような営業方針をとっていれば、きっと共倒れするだけでしょう。
弊社がサイト運営をしていて、こんな出来事がありました。
商品撮影サービスの問い合わせが増えてきた中で、とあるネットショップが230点の大量撮影の相談をしてきたのですが、弊社の撮影単価から、40%近い値引きを希望していました。
もちろん私の判断でボランティアのような撮影を受ける必要もなかったので、丁寧にお断りのメールをしたところ、先方から撮影内容を吟味した上での値引きを再考して欲しいとの返事があり、弊社に損の生じない適正価格で撮影を担当させて頂き、現在も良好な取引をさせて頂いております。
商品撮影サービスを行う側と依頼する側の関係とは何か?
当然ながら、数多存在する撮影スタジオから弊社のサイトを気にかけて頂いたことには感謝しかありませんが、撮影料金というのは弊社の正当な作業量に対して請求していると考えています。
仕事量に対しての報酬
この金額が高いか安いかは、また商品写真の出来の良し悪しは依頼元の感じ方になりますが、撮影スタジオ側に、「作業量以上の仕事をしたという自負」があれば、客先との上下関係はイコールに近いと考えています。
写真屋が自社の撮影スキルを過小評価し、無作為に値引きに応じるということは自社の事業サービスに自信の無い証拠です。
依頼元、請負う側という立場ではなく、互いが営利目的として業務を行う企業同士、必要となる費用は隠さず提示し、依頼元は少しでも価格に対して理解し値引き交渉をする。
撮影料金に納得のいかない商品写真であれば、顧客となるショップは離れる。
逆に価格に見合わない難題を押し付けるショップとは値段交渉しない。
両者がきちんとしたプライドを持って料金に関して向き合うことができれば、安っぽい写真に安っぽい宣伝文句を並べるようなサービスサイトが減り、自社の商品撮影サービスの質の向上に目を向けるようになるのではと思います。