商品撮影を代行業者に外注する理由として、「ネットショップへの返品を解消したい」という声も多い。
実店舗型のショップと比較してネット通販の最大の弱点は、「返品」と言っても過言ではない。
もちろん実店舗であれば、商品を実際に手に取って、色合いや質感、サイズを確認できるが、ネットショップの場合は、今後どれだけVRやAR、はたまたMRの技術が進んだとしても「現物が無い」という状況であれば、返品は必ず起こることであり問題点を見直し軽減対策を取ることは大事です。
実際に大手の通販サイトでは、サイズ上の返品対策として、仮オーダーとして一旦商品を送り、現物確認後に購入するか否かを選択させる販売方法を行うネットサービスもあります。
また我々のような商品撮影の分野に携わっていると、返品というキーワードを意識してしまう時があります。
それは、「商品写真の仕上がりが綺麗過ぎた時」
返品という視点、またネットショップに訪れる消費者の立場で考えると、撮影商品の中には「過剰に綺麗に仕上げない方が良い商品」も存在するのではないか?と感じることがあるのです。
滑稽な話かもしれませんが、商品を撮る時に私達は実物を触り、観察しながら作業をしています。
しかし、実物を知らない訪問者は、「商品写真が判断材料」、そして決め手となります。
そこに掲載されている商品写真が、某有名ブランドの広告写真さながらの仕上がりだったとしたら“売り手と買い手の気持ちの違い”が生じる可能性があります。
どちらが悪いわけでもなく、ネットショップとしては「より良く商品を魅せたかった」、買い手は「より正確な商品情報が欲しかった」だけです。
商品撮影サービスを行う業者も、写真の仕上がりにこだわる姿勢には賛同しますが、実際に情報としての商品写真を考え、消費者の目線を無視してはいけないと感じます。
このブログでも、イメージと説明用の画像というテーマに触れたことがありますが、ネットショップの商品ページでは、正解となる説明用の商品写真は必須だと考えています。
商品のカラーや質感のバランスを考えた「説明画像」があり、そこから派生してイメージ写真が存在すべきです。
ネットショップで信頼を積み重ねるには、見栄えの良い商品写真でイメージ戦略を行うよりも「正確な商品写真」を掲載することで、消費者の信用を得ていくことが大切です。
では、ネットショップへの返品を軽減する「正確な商品写真」を手に入れるためには、どのような商品撮影サービスを利用すべきなのかをご紹介します。
消費者からの物理的な返品理由を除けば、商品写真を見直すことで解決方法が見えるかもしれません。
ネットショップの返品問題とは
まずはじめに、ネットショップの返品問題が、どれくらい深刻なのかを考えてみます。
返品問題を抱えているのはネットショップ全体に言えることですが、特に返品に対して気苦労が耐えないのは、アパレルジャンルの衣料品やアクセサリー、シューズなどを扱うECサイトが挙げられます。
返品に悩むネットショップが扱う商品の特徴としては、家電製品のように、「○○製のテレビ」という言葉だけで質感が何となく分かる、売り手と買い手の共通イメージがしやすい商品では無いということです。
洋服などの商品では、ネット掲載時の商品写真から感じる印象(カラーやサイズ、実際の質感の予想など)が購入を決めるポイントであり、購入者の曖昧な感情(印象)にどう向き合って商売するのかが大切になります。
例えば、商品写真を見てレッドカラーのトップスが欲しいと思い、ネット購入し、届いて実物を見たら、「思っていたより薄い赤だったから返品したい!」という感覚的な理由で返品が生じることもあり、同種のカテゴリーでの返品率は25~40%に上るというリサーチ情報もあり驚いてしまいます。
また現在のネット通販では、「送料無料&返品受付OK」という時流も目立ってきており、体力のあるネットショップであればまだしも、新規参入組や実店舗での売上を補填するためにネット通販を目指す小売業者などが、配送料や返品・交換にかかる費用を自社で負担していれば、実質的な利益は減少してしまいます。
モデル着用画像が返品理由になることも!?
アパレル商品を扱うネットショップでは、商品撮影の業者が勧める「モデル着用写真」にも注意をしなければならないと考えています。
理由としては、アパレル商品のモデル撮影をしていると、モデルの質にもよりますが、経験上一般女性より高身長で細身の体型の人が多い。
モデルという職業からすれば、逆にそうでなければ依頼元は困りますが、しかしこのいわゆるモデル体型というのは、雑誌などでは気にならない高身長・高スタイルが、ネットショップでは、いざ購入しようとする消費者からすれば、リアルな自分の体型との比較ができないというデメリットも生じます。
印象が良くなるという理由だけで、モデル着用写真をネット通販で掲載し、「モデル身長165cm Sサイズ着用」と表記したとして、その商品を見た消費者の返品理由が、次のようなものだったりします・・
「ネット掲載の表記、“165cmでSサイズ”を信じて買ったのですが、私も同じ身長ですが、Sサイズが着れませんでした!返品させて下さい。」
何とも理不尽な購入者ですが、返品理由の正当性を論じる前に、ネットショップ側が気になることは一般公開されてしまう「レビュー欄」を考慮しなければならず、真摯に対応している現状もあります。
アパレル系ネットショップの場合は、モデル着用画像がメインになってはいますが、SNS系の販売サイトでは、平置きやハンガー吊るし撮影でも十分取引ができている現実を知っておく必要もあります。
弊社にモデル着用画像から「トルソー撮影」に切り替えるお客様が多いのは、単純な撮影料金の安さだけではなく、返品対策という部分もあるのかもしれません・・、現在モデル起用を検討中のネットショップは、表記方法など何かしらの対策をしておくことをオススメします。
返品より痛い!ネットショップのレビューと評価
ネットショップで、返品が生じるということは、購入者は何かしらの不満を感じたということです。
それが、どちらのミスなのかはさておき、誤った対応をしてしまうと、レビューや評価を下げる結果になります。
そして、対応を間違えてはならないネットショップの返品理由の1つである「掲載されている商品写真のカラーと風合いが実物と異なる」という意見への対応です。
商品を販売した後、掲載写真と実物の商品カラーに違いがあるという指摘が多くなった時、御社はどうしますか?
通常であれば、商品ページ上の商品写真の変更を行うと思いますが、個人的には一旦「商品ページごと削除する」ことをオススメします。
ページごと削除する理由としては、単に写真を変更しただけでは、商品カラーへの指摘レビューがある以上、「どの段階(日付)の商品写真の色がおかしいのか?」がレビューを読む消費者に伝わりません。
商品写真は新しくなっていても、人の視覚感覚は曖昧ですので、過去のレビューや評価に影響されて、変更後の写真を見た購入者も「商品カラーがおかしい?」と感じてしまうケースも予想されるからです。
そもそも最初の段階で、ネットショップ側が「自社の商品写真は適切なカラーで公開している」という自信があれば、商品カラーの感じ方による返品にも毅然とした対応ができるはずです。
どうして商品写真を変更してしまうのか・・
それはきっと何かしらネットショップ側にも「思い当たる点」があるからではないでしょうか?
返品理由として商品カラーが実物と違うという意見は、商品撮影の業者側で解消に向かわせることができる事項だと考えています。
きちんとした商品撮影サービスを行っているスタジオであれば、色の誤差に関する知識と経験は必ず備わっており、撮影方法による商品カラーの輝度や彩度の変化具合や、それに対応する現場作業とPC上での処理作業もサービスの一環として行っているはずです。
商品撮影サービスを行う業者が最低限やっておくべき、いや、これをやっていない撮影業者に頼んではいけない!!商品カラーによる返品を防止する作業内容について、ご紹介したいと思います。
ネットショップの商品カラーによる返品は撮影業者で決まることも
商品撮影サービスを外注し、実際にネット販売をした後に「商品写真の色あいによる返品」が多くなった時にネットショップの担当者が、まず疑うことは、撮影スタジオの信頼性です。
でも、プロに任せたはずなのにどうして「商品の色合い」に疑問を感じる事象が起きてしまうのか?
同業者から非難されるかもしれませんが、ズバッと以下の2つの原因が考えられます
■商品カラーがおかしい理由1
■商品カラーがおかしい理由2
理由2を補足すると、依頼した商品撮影を本当にその会社の専属カメラマンが担当して撮っているとは限らないということです。
しかし、誰が撮ったとしても商品撮影の意味を理解して、正確な色合いの商品写真が納品されたなら、消費者からネットショップへの返品が頻発することも無いと思います。
要は、撮影機材や撮影環境を含めた撮影のワークフローと仕上がりの基準がきちんと整備されていないことが問題の本質であり、さらに言えば、撮影をしている段階で、実物の商品カラーと色合いがズレていることに気づかないまま納品できてしまうサービスの在り方にこそ疑問が湧いてしまいます。
ネットショップが商品撮影の代行業者に外注する理由の1つに「安心して掲載できる画像を入手できること」も含まれていると思いますので、依頼前に自社のスタジオで撮影を行うのか否か、またはサービスサイト上に掲載されているサンプル写真を撮った撮影者と同じ人間が担当するのかを事前に確認しておくことも大切なのかもしれません。
デジタル写真全盛の時代になり、商品撮影を行うスタジオワークもアナログ的な手作業は減っていることは事実ですが、当ブログでも何度も書いていますが、商品撮影サービスには手を抜いてはいけない項目があることを代行業者を選ぶ際には考えてみる必要があります。
商品撮影後も返品が起こりにくいサイト運営
商品カラーによるネットショップへの返品率を軽減させる対策はまだあります。
商品撮影も適切なプロに任せれば安心ではなく、商品ページに訪れた消費者にカラー情報を提供することもオススメします。
商品写真自体が正確な色再現ができるモニター環境でチェックされている場合、ネットショップの消費者が商品を購入し、色が違うという感じる原因は、「閲覧者の端末(ディスプレイ)環境」となります。
もちろん、日本に出回る全てのPCやスマホのディスプレイに合わせることはできませんので、対策として講じるのは、消費者側に今見ている端末で最低限の色の識別ができているのかのチェックを促すことも大切です。
また必要であれば撮影スタジオ側に、撮影時のカラーチャートの画像を添付してもらい、商品ページに基準としたカラー情報を掲載することで、消費者自身がスマホの明るさやモニターの輝度調整の誤差に気付くかもしれません。
こうした取り組みは、某海外の有名ブランドも実施しており、大手ネットショップであっても商品カラーの感覚差による返品を予防する対策があるということは、それだけ返品という行為は売上に影響してしまうことを意味しています。
では、実際に簡易チャートによる「色の識別チェック画像」を見てみましょう。
下の画像の左から白から黒へと変わる4枚の画像の中には、1マスごとに漢字が隠れています。
調整されたモニター環境では、隠れた文字は識別が可能であり、明るさやコントラストにクセのある環境では、すべての文字は識別できないと思います。
一旦、こちらの画像に隠れている文字をの正解をご紹介します。
はい、「商品写真」という4文字がありました。
いかがでしょうか?現在見ているモニターで判別できましたか?
モニターに依る商品カラーの違いについては、以前の「正確な色の商品写真はネットショップの信用に繋がる」記事内でも書いているので、詳しくはそちらをお読み下さい。
商品撮影でネットショップへの返品を軽減するということは、業者側と販売側が互いに消費者の誤解を生じさせないように最善を尽くしているかで、信頼性は変わります。
何も対策を講じずに「返品不可」、見てるモニターにより商品カラーの色は変わるという記載だけでは、返品防止の具体策にはなりません。
ネットショップを見ていると、AとBの販売者が「同じ商品」を扱っていても両者の商品カラーが明らかに違った色合いの画像を掲載していることはよくあります。
商品撮影を依頼する業者選び、「正確な商品写真」で運用方法をしっかり検討することで、必ずリピート客は増えていきます。
どれだけ品揃えや安さにこだわっていても、届く商品への安心感がなければ消費者は離れていきます。
代行業者も然りで、商品撮影後も返品が起こりにくいサイト運営ができるように依頼元に正確なデータ納品を心がけることを忘れたくはないものです。