商品撮影サービスの代行業者が触れられたくない3つのこと
商品撮影サービスの代行業者とは、「写真を撮る専門の業者」です。
このサイトを含め、私の中のネット上のビジネスとしての位置付けは、今も昔も変わらずECサイトなどから商品写真を依頼され撮る。
シンプルな仕事です。
ECサイト向けの代行業者の現状は、商品撮影サービスだけではなく、商品ページ制作やサイト構成のプランニングの代行など、写真を撮ること以外にショップを支援する関連事業を展開するスタジオや企業も多く存在しています。
もちろんネット業界全体を考え、初めてECサイトをスタートさせる人には、代行業者や支援サービスは力強い味方であり、その必要性のすべてを否定するつもりはありませんが、写真を撮ること、商品ページ制作を行うことで、あたかも集客効果や売上が上がると、過剰に宣伝する代行業者のサイトを見ていると、正確な情報提供も必要なのではと感じることがあります。
商品撮影サービスにプラスした、「撮ること以外のサービス」について、ECサイトに有効だとされる効果と信憑性があるのか確認していきたいと思います。
このサイト上では、「商品写真をプロに依頼するだけではECサイトは成功しない」と何度も書いています。
それは世の中の撮影スタジオの傾向としてプロが撮る写真に特別なパワーがあるかのような宣伝文句が好きではないからです。
消費者がネット検索をし、ECサイトを訪れ、綺麗な商品写真に出会った時は、購買意欲が刺激されるかもしれません。
でもそれは、「その写真を見る機会(訪問までの対策)があったから」です。
つまり、見る機会が無ければ、何も生まれないということで、ネット上で商売をするには、情報を知り(検索や広告etc)、訪問し、購入するしないを決定する消費者の行動が前提となります。
当たり前の流れのようですが、実際に商品写真を依頼されるECサイトの担当者の中には、自社のサイト構成や商品ページ内の施策やカテゴリー、キーワード選出に積極的に消費者の訪問を促す対策を行わずに、「商品写真を変えれば何かが変わる!」と信じているお客様もいらっしゃいます。
撮影業者にとってみれば、写真を変えるだけで売上UPに繋がると信じる人が増えることは都合がいいのですが、今回の記事では、「商品撮影サービスの代行業者が触れて欲しくない3つのこと」と題して、撮影や制作の代行サービスを行う業者が、絶対ネット上では語りたくない、触れて欲しくないであろう部分を正直に書いてみようと思います。
その1:売れる商品写真の根拠は説明できない
宣伝文句に嘘偽りがないのであれば、「売れる商品写真を撮ります!」と書いてあって、商品が売れなければ、撮影代金を返金してもらえるのかと言えば、世の中そんなに甘くはなく返金保証をしているスタジオはありません。
もうこの段階で保証もないのに断言してしまうキャッチコピー自体にツッコミを入れたくなりますが、もし1個でも商品が売れた場合、宣伝文句は嘘ではなくなり、「売れる商品写真」とも表現できるのは、日本語の妙なところではあります。
代行業者側にすれば、この場合の売れる写真の意味は、撮影業者に任せる前後では売上に違いが出るというのが本筋だと思います。
こうした記事を書くと、熱い情熱とプロ根性を持ったカメラマンは、次のように反論するかもしれません。
「商品ごとの特徴を探りながら、消費者に明確な使用イメージを描けるようにプロの写真は構成されており、事実としてたくさんのECショップが既存の商品写真を変更することで売上向上や訪問者が増えたという事例がたくさんある!」
こうした実例報告のような表現をされると、ネット事情や写真に詳しくない一般の方は、本当に効果があったと依頼元が言ってるのだから間違いない!と、納得してしまう人もいるでしょう。
でも、文章はしっかりと理解することが大事です。
当サイトも例に漏れず、撮影業者が当たり前の仕事をするという観点でみれば、“商品ごとの特徴を考えながらなど云々”の発言は、プロとして当たり前の仕事であり、それができていない撮影代行業者が存在していることが問題でもあります。
また「商品写真を変えたらアクセス増加などの効果があった」と言い切ってしまうのは、理解できません。
ECサイトやネットショップは毎日ページ更新をすれば、少しづつ検索エンジン側での評価として商品ページをランク付けする状況は変わっていきます。
この場合も例外なく商品写真を差し替えることで、「ページ更新情報」として検索に優位に働くことは自然であり、商品写真そのものに効果があると決めるのは時期尚早の判断です。
もしも、商品写真を変えたことで、本当に「商品が売れた!」と判断したいのであれば、売上継続期間や効果測定もキチンと考えなければなりません。
効果を確認する方法としては、例えば同一商品を扱うページを2つ作成し、1つは商品写真を全く変更せず、ページタイトルや説明文章だけを適切に変更したページ、もう1つはテキスト部分は触らず、「商品写真だけ」を変更する。
こうして同じ商品で条件を分岐させて実際に販売ページとして公開し、売上効果があったのは、テキスト変更のみのページなのか、商品写真を変えたページなのかを一定期間の売上推移をみながら統計を取ってみれば、何の根拠もない「写真で売れた発言」よりは説得力はあります。
仮に文章(テキスト箇所)だけを変更した商品ページの方が売れてしまったら、商品写真はプロとか素人とか関係なく自社の商品ページの構成を優先して見直すべきであり、商品写真を変えれば売れるという撮影業者の言葉も説得力が無いと判断できます。
検索エンジンの挙動の1つとしてよくある事象が、新しい商品ページがネット上に公開され、検索エンジンが認識&登録された段階で、ひとまず新しいページが上位に表示されて商品が売れるという事はよくあります。
比較テストを行わなければ、あたかも「商品写真の効果!」と決めてしまいそうになりますが、販売運営する側は、もっと多面的に検討する必要があり、プロに写真を頼んだだけで集客効果があるという理屈は、ネット検索が前提となる販売方法では何の保証もないと理解しておくことが大切です。
ネット通販は多面的に見なければならない!そうなると、次に代行業者が考えることはと言えば・・
気づいた人も多いと思いますが、「撮影と商品ページ制作をセット」で担当させてもらえれば、SEO対策を考慮した「売れる写真&ページ構成」が出来上がるという代行サービスが生まれるのです。
その2:撮影と商品ページ制作をセットで売る
とある撮影&商品ページ制作を代行している業者はこう話していました。
この記事を読んだ時に、制作と撮影の両方の経験がある人はどう感じたでしょうか?
さらっと読んでしまえば、撮影と制作の立場の違いで意見や情報の不備等が発生するなら、1つの業者に任せた方が、戦略的且つ有効なECサイトの制作手段のように感じます。
では、1つ1つ考えてみましょう。
まず撮影チーム側で使って欲しい写真が採用されないという愚痴はさておき、写真を撮ることが仕事であれば、クライアントの指示カットの内容から商品ジャンルや傾向に合った+αの必要カットを予測し予備として撮っておくことで回避できる事項ですので、撮影チームの予測が甘いと言える。
また撮影作業の時間的な縛りや、規定カット数を超える業務をしないことが問題であり、まずはそこを改善し、商品ごとの予備カットの調整をすることが、経験から生まれるプロの仕事術ではないかと感じてしまいます。
弊社は撮影部門だけで動いており、制作は別の業者が担当するパターンがほとんどです。
十数年このスタイルで運営していますが、優良な制作業者であれば、事前にキチンと欲しいカット内容の打ち合わせや指示も頂いていますし、もちろん私の方から指定カットを使うように撮影者が指示することはありません。
指示しない理由は、私は写真家ではなく依頼されたカメラマンだと自覚しているからです。
作品撮りと商用撮影はまったく別のジャンルであり、商品写真のOKカットを決めるのはクライアントです。
また商品写真は、撮影者が綺麗な写真を決定するのではなく、消費者を想定した客観的な評価や印象を大切にした方が賢明ですので、撮影者のエゴは排除して、撮影に関わっていない制作担当者や依頼元の琴線に触れる写真を目指すだけだと考えています。
制作側から見ても、欲しいカットが無いというのは、事前の打ち合わせや指示不足によってスムーズな流れが出来ていない事も考えれますが、指示したにも関わらず撮影漏れがあるようなら、それは再度撮影するように促すだけで解決できます。
代行業者を否定するだけではなく1つフォローを入れるとすれば、初めてネット通販やECサイトを運営する人にとっては、撮影と商品ページ制作を代行業者に任せるメリットもあります。
その最大のメリットは、「商品ページの構成と必要な写真の枚数やカット内容」が理解できる点です。
立ち上げから自社で商品撮影から商品ページの制作までを行う場合は、作業手順が分からない状態とも言えます。
これを解消するために、少数の商品とページ制作を専門業者に依頼することで、今後の外注項目の判断材料として、「出す必要のある無しの項目」を明確化することができます。
フォトショップなどの写真編集ソフトの基本的な操作が分かる人であれば、画像のレイヤー構成や、文字のサイズ感やレイアウトを業者のファイルから学び、次回から自社で制作する際の雛形として活用することもできます。
最近の楽天やアマゾンのメイン画像のデザイン構成のルールとして、「商品画像を過度に装飾しない」という規定が本格化しています。
こうした出店先の時流を考えれば、デザインという部分で編集ソフトの基本的なスキルのみで、十分に自社で商品ページのデザイン制作を行うことができると思います。
代行業者が撮影と商品ページ制作をセットで売りたがる理由としては、撮影面では、予めテンプレートが決まった商品ページ内で必要な写真を撮ることで効率的に作業を進めることができる。
また、制作面で見ると、打ち合わせ無しで、クライアント経由で送られた商品写真を受け取り、その都度デザインや構成を考えなくて済むのは効率的ではあります。
忘れてはならないのは、一定レベルの写真と商品ページが入手できるだけで、代行業者に撮影+商品ページの制作を依頼したから、ECサイトへのアクセスが増加するなどの集客効果が担保されたと期待しないことです。
その3:撮影制作代行業者をネット検索で実力を比較
素敵な商品写真、購買意欲の湧く商品ページは、
プロの目線で撮る、またはプロの制作チームが担当することで実現可能!
ではありますが、比例して売上が向上するという意味ではありません。
では、1つ質問です。
撮影や商品ページ制作の代行業者が作ったECサイトまたは商品ページによって、売上が倍増すると強引に仮定します。
では、そうした代行業務をネット検索から見つけ依頼しようとした時にあなたは、
ネットのどこの、何で検索して見つけましたか?
なぜこのような質問をするかと言いますと、意外と皆さん気にしていないようですが、代行業者を見つけた時に、検索ページの広告枠(有料枠)での露出や、楽天市場が薦める業者だったからという単純な理由で決めているパターンが多いからです。
もしも代行業者がサイトを制作すると、アクセスが増えるのであれば、その代行業者のSEO対策を含めたスキルがあるということです。
となれば、Google検索の有料で表示できる広告枠や楽天出店者向けの広報で顧客を呼び込まなくても、ネットの自然検索で上位表示ができるはずですよね・・・
逆にそれぐらいのスキルが無ければ、ネット通販の荒波の中で、集客できる商品ページが制作できる証明にはならないのではないでしょうか?
例えば私がECサイトを運営しようと考えて、撮影や商品ページ制作までを外注するとしたら、特定のキーワードで自然検索の結果が上位に占めている代行業者に依頼します。
では、単純に自然検索で上位だから大丈夫かと言えばそうではない!
代行系のキーワード上では、3年ほど前に私が書いたオリジナルの文章をそのまま丸ごとコピーした悪質な商品ページ制作の代行業者も存在しているので、こんな業者に商品ページを任せたら大問題になります。
※現在は私の方から文章の不正盗用をGoogleに申請し認められ修正されています。
本当の意味でネットの自然検索で優良業者を見つけるのであれば、代行業者のサイト上に「安さと集客力」を過度にアピールしている業者は避けることが賢明で、Googleの優良広告枠や楽天などのモール側の推薦だけで商売をしている代行業者であれば、私は撮影やデザインだけの依頼に留めて、商品ページ制作の代行までは絶対に依頼はしません。
理由は単純で、自社のサイトの上位表示が正攻法で実現できないのに、SEO知識の必要な商品ページ制作を任せても適切な処理とサイト&ページ構成ができる可能性が低いからです。
商品撮影サービスという分野と商品ページ制作という分野は全く別のものです。
主観として、ネット検索で代行業者を探してみても信頼に足る業者は1ページに1社あれば良い方です。
ではなぜ代行業者は商品撮影サービスと商品ページの制作で結果が出たと言っているのか?
その理由を最後のまとめとして紹介します。
まとめ:代行業者が売れる写真、ページ制作が達成できたと感じる理由
「商品撮影サービスの代行業者が触れられたくない3つのこと」と題して書いてきましたが、最後のまとめとして、代行業者が売れる写真、商品ページ制作が達成できたと感じる理由について説明します。
仮にA社というネットショップがあって、楽天市場への出店オープン当時の商品数が20点だったとします。
そして、売上UPのために新作商品を50点追加し、撮影と商品ページの制作を外注に任せました。
するとどうでしょう!
代行業者に任せてから、売上と訪問者数が倍増しました!!!
あっ・・これふつうです、業者に頼まなくても起こります
別に代行業者を経由しなくても自社で新作を50点増やす=商品ページを増やせば売上倍増の効果は期待できます。
それはGoogle、楽天、アマゾンなどの各検索エンジンの特徴こそありますが、検索順位を決める共通点が1つあるからです。
新規に制作・追加された商品ページが増えればアクセスも増えます。
この段階でのアクセス数の増加は、商品ページの追加更新やサイト全体の単語構成数が増えたなどの副次的な効果であり、代行業者の撮影や制作作業が直接影響したものではなく、素人が行っても起きる自然な現象です。
こうした事象を代行業者側は、もちろん知っている事実ではありますが、代行業者側に配慮して上手く解釈すれば、良質な文章とページ構成・商品写真を増やしたから、集客効果があったという理屈にもなります。
良質なページの増加は検索結果に影響するとGoogleも認めているので対策としては奨励される手法です。
ECサイトやネットショップの構成上、良質なページ構成と言っても、管理画面から記述できる項目や内容にプロ・アマのボーダーラインは微妙なところです。
同じ商品を複数のショップが扱い、それぞれが同じような商品タイトルを決定し、説明文の内容やタグ調整も似通った内容だった場合、ECモール上では、「ページ数=商品数」が検索上位表示の決定条件として存在するのは事実で、他の要因として商品ページの閲覧数や販売実績も影響しますが、少し立ち止まって考えると、代行業者じゃなくても自社でできる対策ですよね。
撮影や商品ページ制作を代行業者に任せるメリットは、商品写真の品質の安定と商品登録やページ制作に要する人手や時間を短縮できるという部分が大半だと思います。
誤解を恐れず申し上げれば、訪問者を増やして売上UPを目指すだけなら、代行業者に任せる部分は商品写真だけで良いということです。
良質な商品ページが増えるだけで訪問者も増えるのであれば、ムダなページ制作費は削って、いざ訪れた消費者に向けて、購買意欲が湧き、思わず“ポチりたくなる商品写真”をプロに任せるという選択が運営費の節約術としては賢明だと思います。
代行業者が撮ったら売れる(集客数が上がる)という魔法の商品写真があるわけではなく、商品ページに誘導するための動線があって初めて、消費者の目に触れる機会が生まれ、購入する動機として商品写真が存在意義を持つだけです。
商品撮影サービスの代行業者はもちろん、そんなマイナスな宣伝はしませんが、プロの商品写真には「商品を欲しくさせる効果」はあるのかもしれませんが、消費者を呼び寄せる直接的な集客効果はなく、売れるためには運営側の業者だけに頼らない努力が必要だということを知って頂ければ幸いです。