はじめて商品撮影の代行を依頼するネットショップにとって、撮影業者にどのように商品写真の内容を伝えればよいのか? “手順と内容” が、分からない人もいると思います。
実際、弊社の商品撮影サービスを利用するお客様にも、「撮影に出すのが初めてなので・・」と恐縮している方もいらっしゃいます。
個人的にはご相談や商品撮影を依頼して頂くお客様には感謝しかありません。
もちろん分からないことは何でも聞いて下さい!とお伝えしますが、撮影をはじめて依頼する人にとっては、「何が分からないのかも、分からない・・」ということも想定できます。
また商品撮影はスタジオ任せで商品を送るだけで代行してくれるから大丈夫だという考え方もあります。
しかし本当にネット上でパパっと依頼して撮影商品を発送するだけで満足できる代行サービスを受けられるのでしょうか?
今回は、ネットショップが商品撮影の代行を依頼する手順を経験を通じて、ご紹介していくと同時に、商品撮影を依頼してトラブルなどが起こらないように気をつけたい点や「商品撮影の代行の意味」についても言及していきます。
ネットショップ上で消費者が購入のきっかけになる商品写真!
どのような手順で撮影代行業者に依頼するのかを見ていきましょう。
商品撮影を代行させる理由は2つだけ
ネットショップが商品撮影の代行を頼む理由は2つしか無いと考えています。
最近のネット上の広告では、商品撮影を行う業者が、「売れる商品写真」とか「ハイクオリティ」など奇抜な宣伝文句でアピール合戦をしておりますが、個人的には「丁寧に」とか「様々なニーズに対応」という言葉の方が、商品撮影の代行業者を選ぶには適しているワードだと感じています。
私は、Googleのデジタルワークショップの認定証を取得していますが、受講内容に画像を変えることでアクセス数が増加するなんていう魔法の対策は学んでいませんし、事実として商品写真は、ネットショップに訪れた人が最終的に買うか買わないかを選択する参考画像でしかありません。
綺麗に撮影された商品写真があることで購買意欲が湧くことはあっても、プロの商品撮影サービスを利用したからといって、アクセス数が上がり、飛ぶように商品が売れることはありません。
そうした誤解を生むような宣伝をするということは、依頼主の立場を考えた宣伝活動ができないということでもあり、消費者目線の写真が撮れる商品撮影サービスなのかを知るバロメーターにもなります。
ネットショップが商品撮影を代行させる利用の1つは、作業の効率化です。
例えば今まで自社で商品撮影を行っていた企業が、商品ページやECサイト運営に専念するため、撮影業務を外部に委託するパターン。
単純に販売予定の商品を撮るという作業は、下準備から撮影、現像、編集という流れを一定の基準をクリアしながら、自社で対応するには労力と時間が必要となります。
また撮影業務専用のスタッフを雇用するとなると、商品数が多くなれば、現在の外注費用の相場と人件費を比較すると、ベターな選択となるかは微妙とも言えます。
そう考えれば、仕入れ商品の管理と撮影内容が決まっていれば、作業効率化を目的として商品撮影を代行させるのは有効な手段となります。
そして、もう1つネットショップが商品撮影を代行を利用する理由としては、「商品写真の仕上がりの向上」です。
現在利用している商品撮影サービスからの切り替えや、自社撮りの商品写真の仕上がりのランクアップの為です。
一括りに商品撮影の代行業者といっても、撮影方法や写真の品質はピンきりです。
格安対応で代行業者を選んだとしても、安くても仕上がりに満足がいかないようなら他社を探すでしょうし、実際に商品撮影キットを購入してチャレンジしてみたけど、労力に見合った仕上がりにならないなど、商品写真に求める理由としては枝分かれしますが、基本的には、なにかしらの商品撮影の質を上げたいと希望しているパターンです。
突き詰めると、ネットショップが商品撮影を代行依頼する理由は2つであり、稀に商品写真を変えても売れなかったという理由で弊社に相談に来られるお客様には、ネットショップ自体の商品ページの構成を交えながら、アドバイスをさせて頂いています。
商品ページの構成を先行させる
ネットショップが商品撮影の代行先を決める前に行って欲しいのが、「商品ページの構成」です。
さらに言えばネットショップのTOPページのデザイン上で必要な写真やバナー画像用の写真までを細かくイメージしておくことが大切です。
商品写真が無いからページ構成ができないということは、「商品写真に頼ったページしか作れない」ということです。
ネットショップの商品ページは楽天市場やヤフーショッピング問わず、「下書き」としてどのような商品を登録し、どういったタイトルや説明文を記載するかを事前に準備することは可能です。
商品ページの構成が決まってから商品撮影の代行を依頼するネットショップは、完成時のページ内容が充実している傾向があります。
これは商品ページをどのように見せるのかという構成が具体化した状態で必要となる商品写真が明確になっているので、撮影業者側も依頼主の意図を汲み取っった的確な商品写真になることで実現されていると考えています。
昨今では、商品ページの制作を代行する業者が存在しますが、ネットショップ運営者は、必ず50商品程度は、自社で頑張ってタイトル付けやキーワード選定、商品説明文やキャッチコピーを考えて欲しいと願います。
費用を支払えばネットショップ運営で手間となる作業は何でも代行依頼することはできますが、よく考えてみて下さい、ページ制作を担う代行業者に同じ商品がA・B・C社から持ち込まれ、同一商品に対して一人の編集者がタイトル付けや説明文を書いたとしたら、アクセスUPを見込めるページが完成する可能性は低くなります。
また商品ページを1度も自社で制作したことのないネットショップの1年後のECサイト生存率は非常に低いというデータもあります。
弊社に寄せられる悩みとして、同じ商品を扱うライバル他社と商品ページの構成が似過ぎているという相談があるのも事実で、これを解消しオリジナリティのある商品ページで勝負するには、やはり自社の力で乗り切る以外に方法は無いと感じています。
先行して商品ページを構成することで、商品撮影を代行する側も「補足できそうな写真」の提案や予備カットの撮影も可能であり、ページ構成に個性が出ることも想定できます。
手間ではありますが、ネットショップ運営の戦略として商品写真が先かページ構成が先かを1度検討してみることをオススメします。
撮影商品ごとにカット内容を決める
前章で商品ページについて触れましたが、次は商品ごとの必要なカット内容や枚数を決めておくことも大切です。
考え方としては、撮影業者が納品してきた写真から使えるものを選んでいくという方法もありますが、必要なカット、不要なカットを明確にしておくことはメリットがあります。
例えば品番Aに関しては全6カットは必要、品番Bは4カットで十分だったとします。
商品数としては2点となりますが、それぞれで必要なカット数が異なるため、撮影単価の調整を交渉することができます。
ほとんどの商品撮影の代行業者は、撮影内容が変われば都度作業量に応じた割引にも対応するはずですので、事前に撮影商品ごとに必須のカット内容を決めることは、無駄な撮影費用を抑えるメリットにもなります。
また、撮影内容を明確にしておくことで、撮り忘れなどの業者との行き違いを防ぐこともできますので、賢明な選択とも言えます。
しかし、撮影カット数を明確に伝えてしまうと、伝えたカット数しかシャッターを切らないのでは?
後から欲しいカットが出てきた時に柔軟に対応してもらえるのか?という不安もあるかと思いますが、成形作業を伴わないようなカット追加であれば良心的な撮影スタジオは無料にて対応してくれるはずです。
撮影業者は、カット内容がすべてお任せになるよりも「明確な撮影指示があるお客様」の方が作業がしやすいので、希望があれば何でもリクエストしてみて、対応できるか否かの判断を仰ぐことが大切です。
ちなみに弊社の商品撮影の場合、規定カットを超えて予備として撮影したカットもすべて納品させて頂いております。
使うか使わないかはお客様にお任せする予備の写真ですので、もちろん追加費用は頂きません。
商品撮影の代行業者を選ぶ
ネットショップで使用する大枠の商品撮影の内容が決まったら、いよいよ撮影の代行先を決めることになります。
ネット検索をすると膨大な撮影業者が出てきますが、商品撮影として探すポイントとしては、「写真撮影が主体の業者」または「ネット制作全般を行っている撮影業者」、この2つのジャンルに分類して考えましょう。
サービス内容で選ぶとはいえ、綺麗に撮ってくれる撮影業者を見極めるにはどうしたらいいのか?
はじめて商品撮影の代行業者を選ぶ人にとって、膨大な企業から選ぶことに悩んでしまいますが、1つのポイントに絞って比較すると特徴が見えてきます。
まず写真撮影という分野で選んでいくのであれば、業者のサイト上で、撮影に関するページがどれくらいあるのかを見てみましょう。
例えば、商品撮影サービスとして撮影プランやサンプル画像などが豊富に見えるサイトでも、よく見ると、オプションで切り抜き加工をしなければ使えない画像だったり、はじめて撮影を依頼する人にとって、撮影の詳細内容の説明文(テキスト量)が少ないようなサイトは、単純なライティングや撮影レーンでの流れ作業を行っている傾向があります。
逆にサイト全体のデザインは微妙!?でもw、商品撮影のことについての熱い想いや実績を掲載しているところは、「写真で勝負」している代行業者なので、細かい要望も叶えてくれる可能性が高くなります。
もし私が商品撮影を依頼する側であれば、「写真撮影で成り立っているサイト」を選びますw
「お得!綺麗!即日納品!」や、他社との料金比較を強くアピールしているサービスサイトは、何かしらの理由があるかもしれないので、事前に電話やメールで「背景白飛ばしのセッティング」が可能なのか?など、代行業者の対応を探ってみるのも良いでしょう。
また撮影を依頼するネットショップによって、商品撮影に求めるものが違うのも事実です。
パターン別に商品撮影の代行業者を決めるヒントを見ていきましょう。
撮影料金を重視するネットショップ
商品撮影は料金が安いのがイチバン!!
これも代行先を選ぶ目的として立派な理由です。
ネットショップで扱う商品は、シーズン毎に入れ替わりの激しいジャンルもありますので、商品をより早くネット上で公開して利益を上げるためには、撮影料金は少しでも安いに越したことはありません。
しかし、商品撮影のサービス業者が公開している撮影料金は、代行先によって撮影内容が異なります。
1商品あたりの料金表示なのか、1カット単位の料金なのかでもパッと目にする料金へのイメージは変わりますので、撮影料金で比較する時は、まず「1商品何カットでいくらなのか?」を書き出し、撮影商品に対して必要な作業項目、「アイロン掛け」や「切り抜き作業」なども含めた1商品あたりのトータル単価で決めましょう。
撮影料金が高いと思っていた業者でも、実際に見積もりを見てみたら必要となる作業項目がすべて含まれていて、安いと思っていた業者には撮影に必要な項目が全て有料オプションだったという顛末では笑えません。
ネット上での各社の撮影料金の表示はインパクト重視で行われいるケースが多いので、自社の扱う商品に不可欠な作業項目が全て揃っているのかを事前に確認することは大切です。
商品写真の品質を重視するネットショップ
商品写真の品質を重視する・・
これは非常にネット検索だけで見極めるのは難しい選択になります。
頼んでみないと商品写真の品質は分かりません!
と、書いてしまうとこの記事の意味が無いので、簡単に商品撮影の業者の写真を判断する方法があります。
業者によっては無料でサンプル撮影を受付けていることもあるので、そうしたサービスを利用するのも1つの方法ですが、もっと素早く商品写真の品質を知ろうとするならば、撮影業者に頼んで、過去の商品撮影のサンプルを見せてもらうことです。
でも?それってサイト上の既にサンプル画像が公開されてますよね?
そう感じるかもしれませんが、公開されているサンプル画像は無視しましょう。
基本的に撮影業者がネット上で公開しているサンプル写真は、「実際に顧客に納品した画像」とは限りません。
依頼を受けて納品した商品写真の使用権は基本的に「クライアント」にあるので、撮影者であってもお気楽に公開ができないと考えた方が無難です。
であれば、実際に商品撮影した事例を直接案内してもらうことは不可能じゃない?
と思うかもしれませんが、撮影業者には納品しなかったボツにした写真が毎日のように撮影を行っている代行業者であれば必ず残っています。
正規に流通している商品写真ではないので、サンプルとして確認程度で案内することもできますし、「ボツにしたカットの写真品質」を知ることで、そこの撮影業者のレベルを知ることもできます。
撮影方法などが決まっている場合は、予定している撮影方法で撮られたサンプルを要求してみるのも良いでしょう。
撮影商品を配送したら必ず行うこと
商品撮影を代行させる業者が決まったら、撮影に使用する商品を配送するのですが、配送を行うまでに業者側との情報共有がしっかりできている状態にしておきましょう。
撮影スタジオには1社からではなく、撮影予定の商品がいくつも届きます。
「商品10点送りますね」という口約束で済まさずに、必ず商品の数量などが分かる品番表(商品カラー表)と撮影カットに関する情報を伝えておくようにします。
品番などが決まっていない商品であっても「仮の商品番号」を付けるなどして、送った商品と届いた商品が互いに把握できるようにします。
また商品を配送する時に商品タグの取り扱い方や、到着後すぐに開封し商品のチェックやハンガー掛けを行って欲しいなどの希望を伝えておくことも大切です。
特別な指示がない状態で撮影商品の配送を行うと「1点もののタグ紐」がカットされてしまったり、撮影当日に開封され直前になって欠品が見つかり納期が遅くなるという事態もあり得ます。
商品撮影を行う業者は、それぞれ撮影の経験はあったとしても、その商品に精通したプロではないと考えて、撮影商品を配送する時の指示を検討しておくことで行き違いを防止できます。
配送前の情報共有の徹底は、思わぬトラブルを回避する方法として覚えておきましょう。
撮影作業時の担当者の連絡先を伝える
商品撮影の業者も決まり、配送も完了した!
あとは、納品を待つのみ!
ではありませんww
商品撮影を行う代行業者は、土日祝日問わず撮影順番を待つ商品を扱ってるスタジオも多く存在します。
依頼主の連絡先として、会社の電話番号、担当者のメールアドレスだけを伝えておき、会社が休日の時に撮影が行われ、依頼主からの指示を仰ぎたい項目が出てきた時、撮影業者は困ります・・ほんと困りますww
忙しい撮影スタジオには、よくある土日祝日を利用した撮影業務の決行。
弊社の場合は、スケジュール調整段階で先方の休業日に作業を行う場合は、必ず緊急の連絡先をお聞きしています。
何かしらの連絡が付けば、撮影をストップし、平日に作業を再開するという事態も避けられますし、撮影業者によっては、担当者との連絡がつかなかったことを理由に、再撮影の料金を請求されたという事例もあるようです。
良心的な業者であれば事前に確認をしてくれるとは思いますが、思わぬ作業中止で撮リ直しになる事態を防止することこと、また、撮影作業を進める中で、撮影内容について少しでも疑問に感じ指示を仰ぎたい項目が出たら、すぐに連絡をするように代行業者側に伝えておくこともトラブル防止に役立ちます。
納品された撮影データは必ず全カットチェック
無事に商品撮影が完了し、業者から納品された撮影データをチェックするのですが、納品されたカット数が多い場合は、フォルダに収められた写真を“サムネイル画像の状態”で、依頼した点数分の写真枚数や内容(カット割)だけをチェックして終了してしまう依頼先の担当者も稀にいらっしゃいますので、これは避けた方が良いでしょう。
使用しているPCによっては、エクスプローラー上のサムネイル画像では、写真の色合いを正しく表示されていない可能性もありますので、必ず商品画像をクリックしてフォトビューワーなどで等倍(拡大)表示して、全カットをチェックするようにしましょう。
忠実に商品撮影された画像を正しく表示するには、色再現性が管理されたモニターとフォトショップ等のソフトを併用することをオススメします。
洋服などの商品写真は拡大表示することで、商品形状や色合いだけではなく、生地の雰囲気なども再現されているかなど商品写真全体の仕上がり具合をチェックするように心掛けましょう。
また撮影が完了した段階ですぐに商品を返送してもらうのではなく、できるだけ依頼側のデータチェックが完了するまでは、撮影業者に商品を保管してもらい、撮影漏れや指示と異なるカットが見つかった場合に備えておきましょう。
基本的に代行業者側のミスで再撮影が生じた際は、無料対応が通例ですが、商品撮影サービスの受付条件によっては、追加費用が請求されることもありますので、オーダー前に確認しておくことも大切です。
返送された商品の状態を確認する
代行業者が商品撮影を行う際に、依頼元から預かっている商品の取扱い方が違うことをご存知でしたか?
弊社のお客様に聞いて驚いたのですが、洋服の撮影を依頼して、返送された荷物を開梱したら撮影済の商品が畳まずに押し込まれていたという都市伝説のような恐ろしい話もございましたw
モデルの着用商品で、化粧が首元に付着していた程度の話は聞いたことがありますが、畳まずに返送という商品の扱い方に非常に憤慨されておりました。
これは極端な例だと信じたいですが、タグを切って撮影するなどの指示をしていた際は、依頼配送した分の商品がすべて揃っているかはもちろんですが、商品の点数分のタグはキチンと戻ってきているか、、著しく商品の破損がないか、他社の製品が混ざっていないかなど、返送されたらすぐに開梱し返送状態を確認しておきましょう。
ピン留め撮影などで商品を成形する際に生じるピン穴(通常は目立たない)などは事前に商品撮影を代行する業者もサイト上などで確認事項として公開しているはずですが、撮影の段階で何かしらの傷やシミが生じた時に業者側から連絡があったかどうかも、今後の撮影取引を継続するか否かの判断材料になります。
まとめ:ネットショップが良い商品撮影の代行業者と出会うために
「ネットショップが商品撮影の代行を頼む手順」ということで代行撮影への考え方や事前の準備とチェック項目についてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
ネットショップが良い商品撮影の代行業者と出会うためには、「撮影側が配慮すべき点」と「依頼側が配慮すべき点」の双方の情報の共有が大切だということが分かって頂けたら幸いです。
商品撮影を代行する業者は、依頼主の目的は達成されたか、そして撮影作業から返送業務までを通じて、価格以上の満足を感じてもらえたかなど、常に商品撮影サービスの質の向上を考えるべきだと思います。
業界最安値や豊富な撮影プラン、1回限りの撮影実績を並べるだけではなく、リピート率が高いことが良い商品撮影の代行業者の証明だと考えます。