激安の商品写真を使用することで、一定の年代、特に30代~40代のネットショップ利用者の購買率を下げているかもしれない!?
もしそんな事実が存在したなら、商品撮影サービスは早急に年代別の商品撮影方法の対策を講じなければならない。
大袈裟に書き出してしまいましたが、話を戻して、2017年6月から統計を取っていたリサーチ会社の「ファッション意識調査」の情報によると、年代によって商品に求めるものが違うことが判明しています。
※M2・F2層と呼ばれる35歳~49歳くらいの男女では顕著になる。
楽天市場やアマゾン、ヤフーショッピングにおける消費者層の分布は、年々広くなっており、ネットで買い物をすることに抵抗を感じる人が少なくなり “ネット購入の世代ごとの壁” も薄まっており、2018年7月の段階では、各市場での30代、40代の消費者へ向けた商品展開に力を入れているネットショップも多くなってきました。
一昔前のネットショップでは、若者のネット通販利用率が高かったこともあり、EC市場もそうした流れに乗じた、「少しでも他店より安く多く販売する」という多売戦略のような商品ページが多く見られました。
また、それに比例するように商品撮影の業界も「安く早く」がウリの業者が増えたのも事実です。
こうした流れや激安の商品写真がダメというわけではなく、時代に合った販売方法の選択も大切だということです。
昨今では、ネットショップ側が購入して欲しい世代、ターゲット層を考慮して、撮影業者を探している例もあり、商品撮影サービスの在り方も更に多様化していくのかもしれません。
ファッションという言葉で商売を考えるならば、アパレル商品ジャンルで、流行のアイテムをドンドン投入することは間違いではありませんが、30代、40代の消費者層に向けての商品展開と考えると、長く着られる商品を探していることも事実であるため、入れ替わりの激しい印象を与えないように新作を追加していくことも検討しておきたいところです。
撮影業者選びも、ある程度のターゲット層を見据えて激安プライスの商品撮影を利用していると思いますが、見方を変えれば、商品写真のアプローチの仕方によっては、今まで買わなかった世代の消費者を取り込むことができるかもしれません。
今回は物撮りならではの視点で、世代や性別にスポットを当てて商品写真を考えてみたいと思います。
世代別で商品写真への感じ方は違う
ネットショップ業界で商品写真を見て、一番売上に貢献してくれる世代はどこなのか?
やはり、10代後半から20代の若者がネット通販利用率は高いので貢献度もある!!
これは正解のようで、今の時代の答えではないように感じています。
実際のところ、ネット利用者を世代別に見れば、若者が多く占めているのは事実ですが、そうした若年がネットショップ購入と並行して、フリマやオークションで、ネット上での買い物を楽しんでいる事実もあります。
また最近の消費者行動としては、ネットショップで新品の商品をチェックして、購入はフリマという流れも多くなっています。
対して、30~40代以降の世代のネットショップの利用率や利用頻度は上昇しており、世代が上がるほど、フリマなどではなく、純粋にECサイトからの商品購入が目立っているという統計が出ています。
ではそうした流れを考えて、既存のネットショップが掲載している商品写真で、若者ばかりを見越したデザインや商品ページの構成・展開をしていたとしたら、もちろん、30~40代以降の世代の消費者を呼び込むことはできません。
某大手のファッション通販会社が、40代以上の会員をターゲットに衣類を購入する際に何を求めるのかを市場調査した結果、「安っぽい服を着たくはない」という声が圧倒的に上位を占めたという結果を見て、ネット通販において「安っぽいと感じる理由とは何か」に個人的に興味が惹かれました。
冒頭で申し上げたように、世代が上がれば、長く着られる服をネット通販で探している人が増えるのであれば、購入のきっかけになる商品写真も、「世代を意識した商品撮影」を行わなければならない。
40代の消費者が求める、シンプルなデザイン、上質な素材、着心地の良さというキーワードを活かしながら行う撮影は、商品撮影サービスを生業とする我々からすれば、「腕の見せ所」であり、商品写真がより注目されるチャンスでもあります。
また、モデルによる商品撮影とは異なり、トルソーを利用した物撮りは、「世代を選ばない」という利点もあるので、今後のネットショップに呼び込む消費者の年代を広げたいと考える運営者にも是非活用して頂きたいところです。
若者も着れるけど、30代、40代でも着れる商品
ターゲット層を広げるために商品写真を撮るのであれば、モデル着用の画像は、モデルの年齢によってターゲット層を限定してしまう可能性もあるので、トルソーなどの物撮りに切り替えるか、人物の顔が写らないようにトリミングをする工夫が必要になります。
性別を超えた商品写真の演出
激安&量産型の商品写真を卒業して、幅広い年齢層に対応させるぞぉ!!
と、意気込む前に、もう1つ若者以外をターゲットにする場合に注意して頂きたい点があります。
若者が商品写真を見て購入する目的は、「自分のための商品」ですが、世代が上がるほど、男性の商品を男性が買う、または女性の商品を女性が買うというパターンだけではありません。
つまり世代が上がると、「夫のために妻が買う」、「妻のために夫が買う」というパターンも多くなるということです。
弊社の取引先のネットショップに、女性向けの商品を扱っていますが、購入者のほとんどが男性というECサイト運営している会社があります。
かれこれ7年ぐらい商品撮影の取引をさせて頂いておりますが、年度ごとに売上を伸ばしており、年毎にそのネットショップの商品写真は、「男性目線で撮影する傾向」が増しております。
要は、彼氏や旦那さんが、彼女や奥様へ送りたくなるようなイメージの写真を目指しています。
撮影方法の詳細は控えますが、男性目線で商品写真を撮るにはライティングやシチュエーションを想像させるセッティングが必要となり、ちょこっと撮影料金は上がりますが、ネットショップのコンセプトが明確になり、商品写真から感じる意図も分かりやすく男性購入者が増えることに繋がります。
このブログでも何度も書いていますが、「何のために商品写真を用意するのか」をしっかり考えることは大切で、たかが商品写真ですが、流れ作業で撮る写真と比べれば結果はシンプルに変わってきます。
ネットショップの訪問者の世代と性別、そしてどのような意図で自社のネットショップに辿り着いて欲しいのかを、運営側がブレないコンセプトとして持っていれば、商品展開をする上で、どういった撮影業者に商品撮影を任せるべきかの判断ができると思います。
なんとなくモデル着用画像が良いと言われたから任せている、なんとなく平置き撮影で安い業者を探している・・
そういったネットショップは、きっとなんとなく流れ作業で撮影をしている業者を選んでいたりしますww
ネットショップ都合の激安の商品写真は避ける
商品写真の撮影料金は誰でも気になるはずです。
それが、インパクトのある激安の商品写真を撮るサービスであれば尚更です。
本記事内では、「激安=よくない商品写真」と感じてしまうかもしれませんが、誤解のないように申し上げるのであれば、激安の商品写真であっても、ネットショップが狙っているターゲット層が納得ができるクオリティであれば良いのです。
商品撮影の代行業者は、安いからダメとか、高いから写真品質が良いとは限りません。
本当に考えていただきたいのは、「ターゲットを見据えた商品写真や撮影業者」を選んでいるのかどうかが大事なポイントです。
誰が見ても普通に感じる商品写真であれば、消費者が不満に感じることはありません。
しかし、不満が出ない商品写真と、消費者が好感を持つ商品写真とでは大きな差があるということです。
前者はネットショップ側の「都合」が影響しており、後者は「販売者の意図」が明確化しています。
多くの世代を巻き込むように商品写真を変え、撮り方を変えることで、30代、40代のネット利用者にも好まれるショップ運営ができるかもしれません。